「プーチン大統領、プリゴジン氏と面会」ロシア大統領府が発表

By Kosuke Takahashi

武装反乱を起こしたロシア民間軍事ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(中央)と「ワグネル」創設者、エフゲニー・プリゴジン氏(右)(ウィキペディア)

ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は7月10日、ウラジミール・プーチン大統領が、武装反乱を起こしたロシア民間軍事会社「ワグネル」創設者のエフゲニー・プリゴジン氏らとクレムリンで面会していたことを発表した。ロシア政府系メディア「スプートニク」日本語版AP通信などが伝えた。

ペスコフ報道官によると、プーチン大統領がプリゴジン氏と面会したのは武装反乱から5日後の6月29日。プリゴジン氏とみられる人物がロシア西部サンクトペテルブルクのヘリポートで目撃されたと報じられた日でもある。サンクトペテルブルクは同氏が拠点としてきた。

6月29日のプーチン大統領とプリゴジン氏のクレムリンでの面会は3時間に及び、同氏とワグネル戦闘部隊指揮官を含む計35人が招待されたという。

ペスコフ報道官は、プーチン大統領が同日の面会で、ウクライナの戦場でのワグネルの行動と「6月24日の出来事」についての「評価」を示した、と述べた。また、「プーチン大統領がワグネル指揮官らの説明を聞き、今後の雇用と今後の戦闘使用をオプションとして彼らに提供した」と述べた。

また、ペスコフ報道官は「指揮官たち自身が、何が起こったのかについて自分たちの解釈を示した。彼らは国家元首と最高司令官の忠実な支持者であり兵士であることを強調し、祖国のために戦い続ける用意があるとも述べた」とも語った。

プーチン大統領は反乱から2日後の6月26日には国民向けテレビ演説で「武装反乱は何が起きても鎮圧される」と強調。プリゴジン氏の名前には触れずに「首謀者たちは、国民の対立、国の弱体化を狙った」と非難。「(ワグネルの戦闘員たちに)うそをつき、国民に銃を向けるのを強制した」として、戦闘員が事情を知らずに反乱に利用されたと語った。また、ロシア国防省との雇用契約やベラルーシへの渡航などの選択肢をあげ、「選択は自由だ」「私は約束を守る」とも述べていた。

プーチン大統領は翌27日にもクレムリンで演説し、「祖国を動乱から守り、事実上、内戦を阻止した」と兵士らを称賛。「反乱軍と対峙(たいじ)し、パイロットが死亡した」と述べ、1分間の黙祷をした。

プーチン大統領がなぜ反乱の首謀者であるプリゴジン氏と面会したのか。プリゴジン氏が抱えるワグネルの利権の引き渡しで手打ちをしたのか。また、なぜこのタイミングでクレムリンがプーチン大統領とプリゴジン氏の面会を明らかにしたのか。詳しい情報がない中、謎は深まるばかりだ。

(関連記事)

プーチン大統領は本当に核を使うのか 泥沼化する侵攻、最悪の展開を予想してみる #ウクライナ侵攻1年

ジャーナリスト田中龍作と高橋浩祐が語る『ロシアのウクライナ侵攻で一変した世界』(動画)

© 高橋浩祐