IAEA処理水報告説明へ 経産相、福島県漁連に

西村康稔経産相

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り、西村康稔経済産業相は11日、福島県漁業協同組合連合会(県漁連)を訪れ、放出計画を「国際的な安全基準に合致している」とした国際原子力機関(IAEA)の包括報告書の内容や、安全確保の取り組みを説明する。

 処理水放出には国内の漁業者のほか、韓国の野党や中国が反対。政府と東電は2015年、県漁連に「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」と約束しており、県漁連の理解が焦点になる。

 IAEAは、日本政府の依頼を受けて放出計画の安全性を検証。グロッシ事務局長が4日に来日して岸田文雄首相に報告書を提出した。報告書は人や環境への放射線の影響は「無視できるほど」とする一方、放出は日本政府による決定で「その方針を推奨するものでも、支持するものでもない」としている。

 計画では、放射性物質トリチウムの濃度が国の基準の40分の1未満になるよう海水で薄め、海底トンネルを通して原発の沖約1キロで放出する。放出設備は完成し、設備面の準備は整った。

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