「食品ロス」を減らすとともに、まちづくりの担い手を応援するという取り組みが静岡県富士市で進められています。
富士市の吉原地区で明治時代から4代続くパン屋さん「小麦畑松林堂」です。夜明け前から焼き始める約70種類のパンが地元で愛されています。
<「小麦畑松林堂」 佐野健太郎専務>
Qお鍋の中は?
「カレー」
Qということはカレーパン?
「自分が好きだもんで」
午後5時すぎ。パン職人の佐野さん、スマートフォンで写真を撮り始めました。
<「小麦畑松林堂」 佐野専務>
Qいま、何をしている?
「ただいまよりパン半額サービスというLINEを入れています」
この取り組みは、富士市の11店舗が取り組むSDGsプロジェクト「まちぐるMe(まちぐるみ)」。夕方に店に並んでいる商品をまちづくり協議会の役員限定で割引販売するというものです。
<「まちぐるMe」事務局 ラジオエフ 佐野智恵子さん>
「ここがラジオエフのスタジオです。ここに毎日大勢の方が来てくださっていて、まちづくり協議会の方とか、地域の店の方とか、ここでいろいろな悩みも、夢も語っていただいて…」
「まちぐるMe」は、地元のラジオ番組に出演した人たちが漏らした「地域の担い手になってくれる人が確保できない」という“ぼやき”から生まれました。
<「まちぐるMe」事務局 ラジオエフ 佐野さん>
「(パン屋、ケーキ屋の人も)『なり手』がいないということを地域に住んでいるので現状を分かっている。地域活動をしている人に少しでもお礼の気持ちを伝えたい。もう1つは最後のひとつまで、せっかく一生懸命作った商品なので食べてほしいという思いがある」
パンやケーキの店はどうしても売れ残りの商品=食品ロスが発生します。それを街づくりに尽力する人たちに安く提供する取り組み。このサービスは街づくりに携わる人を増やすという狙いもあります。
<「小麦畑松林堂」 佐野専務>
「ボランティアで成り立っている地域の活動をやってくれている方たちなので、ご苦労さまという意味を込めて参加しました。そこに食品ロスの削減があったので、協力しようかな」
LINEを見て、吉原まちづくり協議会の藤田嗣会長がパンを買いに来ました。
<「小麦畑松林堂」スタッフ>
「ありがとうございます。580円です」
<吉原まちづくり協議会 藤田嗣会長>
「えーーっ。1,000円以上買ったつもりだったけど間違ってない?」
<「小麦畑松林堂」 佐野専務>
Q何とかサポートしたい?
「こういう特典があるよだけでもね。だからって増えるわけじゃないんですけど、そういうお得感があってもいいんじゃないかな。やってる側はありがたいです」
みんなが手を携え、食品ロスと自治会の担い手不足という2つの課題を解決しようとしています。