別府署とコンビニ、特殊詐欺被害防止へタッグ 店ごとに担当署員1人、助言や合同訓練【大分県】

訓練で、特殊詐欺被害の疑いのある客への声かけを確認=別府市石垣東のセブン―イレブン別府石垣東7丁目店
訓練で、駆けつけた別府署員に強盗犯の特徴を伝える従業員
地域の防犯力の強化を目指し、別府署と別府市内のコンビニが連携を深めていく=別府署

 【別府】別府署と別府市内のコンビニは、特殊詐欺などの犯罪対策に連携して取り組む「コンビニエンスストア・セーフティステーションネットワーク」を立ち上げた。各店舗に署員を1人ずつ配置。助言や情報提供、合同訓練を通じて、従業員の防犯意識の向上を図る。同署は「安全安心な市の実現につなげていきたい」と話している。

 対象は日本フランチャイズチェーン協会に加盟する全61店舗。同協会によると、2000年代から犯罪対策として「セーフティステーション活動」を自主的に展開している。各店舗に担当の警察官を割り当てるといった連携体制の構築は全国的にも珍しいという。

 同署生活安全課は「コンビニは重要な社会インフラ。特に特殊詐欺の被害防止には従業員の声かけが欠かせない」と説明。犯罪抑止のため、制服警察官の立ち寄り回数の増加を求める要望が以前から多かったという。本年度から組織の立ち上げに向けて調整してきた。

 各店舗担当の署員は日頃から訪問して最新の犯罪手口などの情報を店員と共有する。各店舗の要望や困りごとの把握にも努め、署の各種防犯活動に生かしていく。

 6日、発足式が同署であった。署員やコンビニ関係者約40人が出席。セブン―イレブン・ジャパンの植田敏宏・大分北地区ディストリクトマネジャー(49)=北九州市=が「従業員や地域住民の安全安心につなげていければ」、後藤久典署長(59)が「地域住民の安全確保を担う拠点になってほしい」とあいさつした。

 セブン―イレブン別府石垣東7丁目店で防犯訓練も実施。特殊詐欺被害の疑いのある客への声かけや、強盗への対応を確認した。山下剛・生活安全課長(47)は「慣れない様子で電子マネーを買おうとする客がいたら声かけを。強盗に入られた場合は身の安全を最優先し、できる範囲で犯人の特徴や車のナンバーなどを記録してほしい」と呼びかけた。今後も各店舗で合同訓練を実施する方針。

 訓練をした同店の片岡ミカさん(22)=別府市=は「いざというときに焦らず対応できるよう、日頃から防犯の意識を高めていきたい」と話した。

 

<メモ>

 県警生活安全企画課によると、今年に入り県内で特殊詐欺の被害は113件確認され、被害額は約2億874万円(5日時点)に上る。68件、約1億963万円だった前年同期から大幅に増加している。今年の被害の約5割に当たる53件がコンビニで電子マネーを購入させる手口だった。

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