警官4人を切り付けた男、法廷で「全て捏造です」 政府が母を殺害したと妄想 弁護側「心神耗弱の状態」

さいたま地裁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2021年11月、埼玉県戸田市内の路上で警察官4人を折り畳みナイフなどで切り付け、けがを負わせたなどとして、殺人未遂や公務執行妨害、銃刀法違反などの罪に問われた同市、無職の男(56)の裁判員裁判の初公判が10日、さいたま地裁(中桐圭一裁判長)であった。男は「全て捏造(ねつぞう)です」などと述べ、弁護側は起訴内容の認否を留保するとした。

 冒頭陳述で検察側は、男の実母が日本政府に殺害されたり、自身の行動を警察官が監視しているなどの妄想を抱いていたとして「町中で出くわす警察官を殺害対象と考えていた」と指摘。一方、弁護側は「(男は)精神的な病を抱えており、心神耗弱の状態だった」と主張し、減刑を求めた。

 起訴状などによると、男は21年11月、戸田市内の路上で折り畳みナイフ4本などを所持し、パトロールをしていた蕨署の巡査部長(36)から職務質問を受けた際、殺意を持って折り畳みナイフなどで同署員の首などを突き刺して職務の執行を妨害しけがを負わせ、制止しようとした巡査(26)にナイフで腕を突き刺したほか、駆け付けた巡査部長(49)と巡査(31)=いずれも当時=に対しても同様に腕や手指などにけがを負わせたとされる。

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