夕陽ハンターVOL.21~期間・時間限定!満ち潮に阻まれた夕陽/本山岬公園・くぐり岩(山口県山陽小野田市)

キャンピングカー『ソーラーキング号』で日本全国を自由気ままに旅しながら、通算2,000ヵ所以上の観光地を撮影してきた松岡ヒロノブ。とくにお気に入りのシチュエーションは、様々な絶景スポットで出会う感動的な『夕陽』です。 瀬戸内海には美しい夕陽スポットが数多くあるといわれます。

本シリーズは、フォトライター松岡が瀬戸内地域の夕陽名所を発掘し、その時々の季節や気象条件のなかで最適なタイミングを狙って感動的な夕景をものにしていくコーナーです。

人は生涯にいったい何回くらい夕陽を見られるのでしょうか? そう考えると松岡はいても立ってもいられず、『夕陽ハンター』に変身してしまうのです……

本山岬『くぐり岩』の空洞に沈む夕陽を狙う!

本山岬(もとやまみさき)は山口県南西部の瀬戸内海(周防灘)に突き出た岬で、山陽小野田市の最南端に位置します。

注目は、岬の先端にズドーンとそびえる奇岩『くぐり岩』!訪れた人に畏怖の念を抱かせる圧倒的な存在感と、中央の3つの空洞から差し込む陽光。奇岩マニアでなくても、大自然が生みだした壮観な景色に心を揺すぶられることでしょう!今回は、この空洞の中に落ちる夕陽を狙います!

本山岬『くぐり岩』への行き方!

本山岬は丘陵地になっていて、丘の上に駐車場が整備されています。『くぐり岩』への案内看板もあるので、指示に従って遊歩道を歩いていきます。

少し進むと石造りの鳥居が立ち、金毘羅大権現の社(やしろ)が鎮座しています。“海の守り神”として知られる香川県の『こんぴらさん』をご本尊とする神社ですので、海岸へ下りる前に参拝していきましょう。

坂道を下って海岸へおりると、いきなり巨大な奇岩が目の前にそびえ立っています!本山岬には3億年~2億5千万年前に形成された地層が露出していて、荒波や海風によって浸食された奇岩群がゴロゴロしています。

空洞がいくつかありますが、狭くて人が通れそうにはありません。実はこの岩は『くぐり岩』ではなく、ここからさらに50mほど先に目的の奇岩があります。

本山岬の『くぐり岩』をじっくり探索!

ついに『くぐり岩』とご対面!遠目からでも、ものすごい存在感を放っていますね~!!

中央にある3つの海食洞が貫通してトンネルになっているのですが、近づいてみると左側にも小さな穴があります。まるで巨大な腕が伸びて、今にも襲い掛かってくるような、不気味な印象!

右側にも小さな穴が。でも、なんだか、ス○ーピーの目に見えませんか!?ファンシーな雰囲気も漂います…(笑)

いよいよ『くぐり岩』の空洞トンネルに接近!右側の2つはやや細くて高さは2mほどですが、左側の空洞は4mぐらいありそうな大穴です。

空洞から垣間見る景色。この中へ沈みゆく夕陽は神秘的でしょうね!期待が高まります!!

『くぐり岩』の全景を入れながら、空洞の中に落ちる夕陽を見るには、時期的に2月下旬と9月下旬の1週間前後しかチャンスがないそうです。今回訪れたのは11月上旬ですが、太陽は徐々に右下へ移動しながら沈んでいきますので、奇岩の全体像を捉えることにこだわらなければ、11月でも夕陽は見られそう。

『くぐり岩』をくぐろう!

日没まで時間があるので、『くぐり岩』の周辺を散策します!大きな空洞の方は、大人でも余裕でくぐれますね~。

空洞をくぐり抜け、反対側から見る『くぐり岩』。光の加減や見る角度によって、ずいぶん違った表情を見せてくれますね!

帰りは細い方の空洞を通ります。体を横にしてカニ歩きしなければなりませんが、人ひとりは何とか通り抜けられそう。

そして空洞の内部で、驚愕の事実が判明!!先ほど3つに見えていた空洞は、実は中にもう一つ洞門が隠れていて、合計4つだったのです!

先ほどの入口とは別に、右側にも隠れた空洞があり、帰りはそちらのトンネルをくぐって表側に戻ってきました!いや~ホントに見る方向で姿が変わる、“七変化”の奇岩ですね~!!

実は干潮時にしか行けない『くぐり岩』!

と、のん気に『くぐり岩』を探索していたら、周りの異変に気づいてビックリ!!「き、帰路が消えている!?」

実は『くぐり岩』の手前に広がる、これらの岩礁地帯は干潮時にのみ歩いていく事ができ、潮が満ち始めるとあっという間に海水に満たされて通れなくなるのです!(気が動転して写真を撮り忘れたのですが、ここに写っている岩礁が全て海水に浸されてしまった状況を想像してください…)

今回はたまたま、来た時が干潮(引き潮)のタイミングだったので、まさか帰路が水没してしまうとは夢にも思わず…

周辺を探索しましたが、断崖が急すぎて丘の上へ戻れるルートは他にありません。どうしようもないので、靴を脱いでズボンの裾を膝上までたくし上げ、意を決して11月の冷たい海の中をジャブジャブ歩いて、何とか登り口までたどり着く事ができました…

早めに気づいたので、まだ水深が低くて助かりましたが、夕陽まで待っていたら完全にアウト!『くぐり岩』で夕陽を見るためには、日没時刻と干潮が重なる日を選んで行かねばなりません。

「こりゃあ、かなり難易度の高い夕陽ポイントだなぁ… でも、いつの日か『くぐり岩』の夕陽をモノにしてみせる!!」

失意の中にもリベンジを誓って、本山岬を後にしました……

日本の夕陽百選:焼野海岸で夕陽ハンター!

とはいえ、転んでもタダで起きるつもりは毛頭無い、夕陽ハンター松岡!実は本山岬から車で5分のところに『焼野海岸(やけのかいがん)』があり、この砂浜(きららビーチ焼野)は『日本の夕陽百選』に選定された夕陽名所なのです!

今回はやや分厚い雲がありましたが、その下から夕陽が姿を現しました!

周防灘の対岸に見える北九州の陸地へ、太陽が沈んでいきます。なかなか良い日没シーンですが、やっぱり『くぐり岩』の空洞を通して見る夕陽を見たかったなぁ~

夕焼けのトワイライトタイムが美しい焼野海岸。浜辺にはフェニックスの木が植えられ、南欧のリゾート地のようなお洒落な雰囲気もあります。

海岸沿いにトロン温泉・レストランを備えた『きらら交流館』もあり、日帰り入浴も可能。海中を歩いて冷えていたので、温泉に浸かって体を温めることにしました!

『くぐり岩』の夕陽、いつかモノにするぞ~!! <つづく>

本山岬公園・くぐり岩
住所/山口県山陽小野田市本山
電話/0836-82-1313(山陽小野田観光協会)
駐車場/あり(無料)
最寄駅/JR長門本山駅から徒歩30分
https://www.city.sanyo-onoda.lg.jp/soshiki/26/motoyamamisaki.html

焼野海岸・きららビーチ焼野
住所/山口県山陽小野田市焼野海岸
電話/0836-82-1313(山陽小野田観光協会)
駐車場/あり(無料)
最寄駅/JR長門本山駅から徒歩10分
http://y-view-navi.jp/ja/spots/16589

瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣
▼記事提供元

[(https://setouchifinder.com/ja/)
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