「第44回ABCお笑いグランプリ」同級生コンビのダブルヒガシがラストイヤーで44代目王者に。大接戦を制した喜びを語る!

今年で44回目を迎える「ABCお笑いグランプリ」の決勝戦が7月9日に行われ、出場資格が芸歴10年目以下である同大会で“ラストイヤー”だったダブルヒガシが優勝を果たした。

若手芸人たちが、漫才、コント、ピン芸、歌ネタ、落語など何でもありのオールジャンルの中で競い合い、大会の優勝者には賞金100万円が贈られる「ABCお笑いグランプリ」。今年は全国から575組がエントリーし、最終予選では44組が決勝進出を懸けてネタを披露した。

決勝戦は、ファーストステージと、ファイナルステージの2ネタ方式を採用。審査員には、岩崎う大(かもめんたる)、陣内智則、田中卓志(アンガールズ)、兵動大樹(矢野・兵動)、山内健司(かまいたち)、ユースケ(ダイアン)、リンゴ(ハイヒール)が顔を揃え、若手芸人のネタを見守った。

ファーストステージでは、12組が3つのブロックに分かれ4分のネタを披露。各ブロックの中で、審査員7人の総合評価が最も高かった1組が決勝に勝ち上がることとなり、Aブロックから素敵じゃないか、Bブロックから令和ロマン、Cブロッックからダブルヒガシがそれぞれファイナルステージに駒を進めた。

ファイナルステージは、ファーストステージと異なる4分のネタを披露することに。3組ともに漫才で挑むこととなったこのステージでは、抽選の結果、令和ロマン、ダブルヒガシ、素敵じゃないかの順になった。最終審査の結果、令和ロマンとダブルヒガシが671点という番組史上初の同点という予想外の展開を起こすことに。両者だけでなく会場中がざわつく中、大会規定に基づき、ファーストステージの得点が高かったダブルヒガシが第44代のチャンピオンに輝き、優勝トロフィーと賞金100万円のほか、副賞が贈られた。

決勝戦の後に行われた記者会見では、優勝した気持ち聞かれると、東良介は「ほんまにうれしいですね。ずっと『ABCお笑いグランプリ』を取りたくて、コントも、ピン(芸)も、漫才もある中で、若手の中で一番になれたのはほんまにうれしいです」と喜びを爆発させた。大東翔生も「間に合ったというか、すべてが10年で区切られたりする中で、『ytv漫才新人賞』と『ABCお笑いグランプリ』をこうやって取れたっていうのは、ほんまによかったなと」同じく喜びをかみ締めた。

優勝賞金の100万円の使い道については、東は「何がいいんすかね…」と悩みながら「ご飯行ったりもありますし、おかんに電動自転車とかを買ったり、おやじはちょっとはげてるんで育毛剤とか?」と親孝行な一面をのぞかせると、すかさず大東からは「俺が飲んでる薬あげたらええやん」というボケが。「なんであげなあかんねん!」と東もツッコミを返しながら、「家族に還元したいなというのもありますし、お世話になってる方々に何かできたらなとは思ってます」と語った。引っ越しを控えているという大東は「ちょっと家電のグレードも上げていこうかな」と言いながら、「あとは妹がつい最近子どもを産みまして。3人目ということで、パパ代わりになんでもしてあげようかなというところですかね。なんでもできますから」と笑顔を見せた。

さらに、「思い出の公園があるんですけど、そこに遊具立てたりとか貢献できたらいいっすね」と東が口にすると、「ほんまにおもろいな、それ」とうなずく大東。「ちっちゃい俺らの銅像とか建てる?」と東から問いかけられた大東は「知らんやつの銅像は汚されて終わり!」とツッコみ、高校の同級生でもある2人ならではの、息の合った掛け合いで笑いを誘った。

大接戦となった今大会だが、優勝する自信はあったかを聞かれると、大東は「優勝する自信は正直、五分やったんですけど、決勝には確実に行くと思ってました。優勝は運もあるんでね。でも、2本目をネタ合わせしながら仕上げていくにあたって、5割がドンドン6割、7割に上がっていって。ただ、決勝の舞台に立つことは分かっていたというか、自信があったので、自分が思ってることに対する答え合わせができてよかったです」と振り返ると、片や東は「ファーストステージを勝てれば優勝できるかな、という感じの2本目の仕上がりでしたね。ただ、どこのコンビが上がってくるかで変わってくるんで。それでも、信じてよかったです」とコメント。

今日のネタ選びに関しては「(ネタは)基本的に僕が選ぶんですね。1本目は、結構早い段階から『これ』っていうのは決まっていて、『2本目どうするか?』みたいに悩んでいて、一番いいやつを持っていこうみたいな感じですね」と大東が裏側を明かすと、続けて東から「1本目のネタは、『やりたかった』っていうのが強いかもしれない」と告白する場面も。「何年か前もやろうとして、悩んだんですけどやめて。そこから、やらなくなったんですよ。で、ある日、もう1回やってみたら『やっぱりエエなぁ』みたいになって。いいネタやからと今年に持ってきたんですよ」と言う東に、大東は「前はビビッてもうたんですよ、(キャッチセールスという)テーマがテーマなだけに。今年の最終予選もあのネタをしてるんですけど、ちょっとだけ倫理的にどうなんだという懸念点はありました。ギリまで東はビビってましたけど(笑)」とネタ選びの難しさを伝えた。

また、ネタ作りでのポイントについて聞かれると、大東は「こればっかりは、ほんとに答えのない旅でして…」と切り出しながら、「僕らって、ネタにあんまりシステムとかないんですよ。ダブルボケをやったりとかもありますけど、作ることにおいての大事な部分は、楽しんでネタ合わせをするというのを意識してますかね。ネタ合わせの段階で楽しくないとあまりよくならない」とこだわりを明かす。東も「全部(相方に)任せてるんで。大東の持ってきたものは、ほぼほぼOKっていう感じですね。こいつの持ってきたチケットで旅に出るみたいな」と、相方への信頼は揺るがないようだ。

決勝戦のファイナルステージでは、令和ロマンと史上初の同点という展開も起こったが、その瞬間を振り返った2人は「もうどうなんねんって感じで。(大会規則の)ルールを知らなかったんで、同点やった場合のことも考えてないし、『負けたらどうしよう』『勝ったらどうしよう』のことしか考えてなくてパニックになりました」(東)、「どういうルールか分からんけど、例えば審査委員長が最後に決めるとかだったら、『審査委員長は誰や。(ハイヒールの)リンゴ姉さんか? じゃあリンゴ姉さん、令和ロマンの時にはじける笑顔で笑ってたやん! これはやばい』みたいな感じで、分からなかったですね」(大東)と、2人ともかなり動揺していた様子。直後に優勝が決まった瞬間の「1本目サボらんでよかったー!」という大東の言葉は、ルールが分かった瞬間の安堵が表れていたようだ。

しのぎを削った令和ロマンは、来年以降も出場が可能。「王者としてエールを送るなら?」と聞かれた2人は、東が「あいつらには何もいらないっすよ。もう僕らから言えることはないんで」と言うと、大東も「あいつらはエリートやから」と太鼓判を押す。「今日もたまたま僕らが取っただけで。あのままの感じでやってたらいつか絶対に取ります」と好敵手への思いを伝えた。一方、大東は「(松井)ケムリくんがもうちょいやる気出せよと。賞金もいらんみたいに言っていて」と触れながらも、「何も変えなくていいです。言うことはないですね」と期待を寄せた。

会見の最後には、記者から大東に向けて「お父さんから連絡は?」と聞かれる場面が。というのも元K-1ファイターでもある大東の父・大東旭は、ダブルヒガシの情報を積極的にInstagramを通して紹介しているそうで、これに大東は「まだ見られてないんですけど、ストーリーでブイブイ言わしてると思う。どっちかというと母ちゃんと(連絡を)するんですけど、確実に来てると思います」と口にすると、東も「えぐいぐらい俺たちの情報を流してくれてるので、よかったら見てください」とアピール。また、「ABCお笑いグランプリ」公式Instagramのアカウントにダブルヒガシの情報が載ると、大東の父は毎回反応しているそう。この話には思わず「何してんの…」と恥ずかしそうな様子を見せながら「うれしいです。ホントにありがとうございます!」と大東は喜びを再びかみ締め、ほっこりした雰囲気で会見は幕を閉じた。

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