犬は『人』や『言葉』をどのように記憶する?飼い主が知っておくべきメカニズムを解説

犬が「人」や「言葉」を記憶するメカニズムとは

犬の記憶力に、人間はしばしば驚かされることがあります。人間のように言葉を操れるわけではないのに、あの記憶のメカニズムはどのようになっているのでしょうか。

犬は人をニオイで記憶している

犬が人を記憶する方法には「体臭」があります。

身に付けている香水や洗濯洗剤などの香りではなく、その人そのものの体のニオイです。人の汗や皮脂のニオイは、犬が好む有機物であるため、記憶しやすいのでしょう。

香水や洗濯洗剤などの人工的な香りで記憶することも可能かと思いますが、一生涯ずーっとその香りを身に付けているわけではないですよね。

もしも飼い主を洗濯洗剤の香りで記憶したいた場合、その香りが変ってしまった時、飼い主と他人を区別することができなくなってしまうのではないでしょうか。

お風呂に入って念入りに汗や皮脂を洗い流しても、強い香水の香りを身にまとっても、犬は大好きな飼い主の汗や皮脂のニオイをしっかり感じ取ることができる優れた嗅覚を持っています。

強い人工的な香りは犬を苦しめることもあるため、なるべく香りの少ないものを選ぶようにしましょう。

犬は人を顔で記憶している

犬が人を記憶する方法には「顔」があります。

視力の弱い犬ですが、人の顔を記憶することはできます。視力は0.1~0.3ほどであるとされているため、30㎝~1mの範囲内で目にしたことのある顔であれば、はっきりと記憶していると思われます。

数年ぶりに再会する家族を警戒し、激しく吠えていた犬がグッと人に近づいた瞬間、甲高い声を上げて興奮し、大暴れで喜ぶ姿を見たことがあるでしょうか。SNSやテレビ番組でもよく話題になりますよね。

顔を覗き込んだ瞬間、大切な家族であることがはっきりと分かったのでしょう。顔で判断するまで、誰であるかの確信を持つことができなかったのだと思います。

犬が人に顔を近づけてくることがよくありますが、ニオイを嗅いでいるだけではなく、顔を覚えようとしているのではないでしょうか。

犬は言葉そのものを左脳で記憶している

犬が言葉を記憶するメカニズムを研究するためのとある実験では、言葉そのものには左脳が反応し、言葉のイントネーションには右脳が反応している、ということが分かっています。

左脳によって言葉を記憶する時に重要なことは、「言葉と良い出来事」「誉め言葉と機嫌の良さ」であるとされています。

例えば、オスワリという言葉とおやつがもらえるという良い出来事が重なった時、その言葉を記憶しやすくなるということです。さらに、オスワリできたことを褒められたり、飼い主の機嫌が良かったり、ということも言葉の記憶をよくするとされているのです。

犬が言葉を記憶できるのは単語レベル

犬が言葉を記憶するメカニズムを研究するためのとある実験では、犬が言葉を記憶できるのは単語レベルであるとされており、会話の中から単語を聞き取っているとされています。

飼い主が愛犬に話しかけた時、その会話の中にある記憶した単語を聞き取り、どのような行動をするべきなのかを判断しているということのようです。

「ママ今日は帰りが遅くなるけどお利口さんにお留守番しててね。帰ったらすぐにお散歩に行こうね。」という会話をした時はどうでしょうか。「ママ」「お利口さん」「お留守番」「お散歩」「行こう」という単語を記憶している犬がほとんどなのではないでしょうか。

犬に言葉を記憶してもらいたい時は、短い単語を使うことを意識してみるとよいと思います。

まとめ

犬が人や言葉を記憶するメカニズムを4つ解説しました。

  • 犬は人をニオイで記憶している
  • 犬は人を顔で記憶している
  • 犬は言葉そのものを左脳で記憶している
  • 犬が言葉を記憶できるのは単語レベル

犬の記憶力には短期記憶と長期記憶とがありますが、長く記憶してもらうためには、やはり「言葉と良い出来事」の結びつきが重要なのではないかと思います。

愛犬の名前を呼びながら叱っていませんか?大切な名前に悪い印象を持ってしまっては、犬にとって嫌な記憶になってしまう恐れがあります。

愛犬の名前を呼ぶ時は、優しく穏やかな気持ちでいたいですね。

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