トルコ・キュルテペ 都市の起源か 清心女子大・紺谷教授が成果報告

「キュルテペの誕生を知れば、人類の都市の起源に迫れる」と語った紺谷教授

 トルコ中央部で約4千年前に栄えた古代都市キュルテペの発掘調査に取り組む紺谷亮一・ノートルダム清心女子大教授(西アジア考古学)は11日、岡山市北区伊福町の同大で会見。来月の現地入りを前に、15年間にわたる調査で明らかになった同都市の実像と今後の展望を発表した。

 キュルテペは、「アナトリア(トルコ)史の始まりの都市」といわれ、世界遺産の暫定リストに登録されている。1948年からトルコのアンカラ大が発掘調査を行っており、紺谷教授は同大への留学経験があることから、同大の依頼を受け2008年に山口雄治・岡山大助教(西アジア考古学)らと発掘日本隊を組織。同年から調査に参加してきた。

 周辺の遺跡分布調査などを行った後、15年からキュルテペ本体の発掘に着手。21、22年には紀元前3300年ごろの大規模建物跡を発見した。「人類史上最初の都市とされる古代メソポタミアの都市ウルクの形成とほぼ同時期。キュルテペもまた“都市誕生の起源”といえる可能性が示された」と紺谷教授。

 キュルテペ周辺ではスズの鉱山遺跡も確認され、山口助教は「ウルクのような農耕でなく、鉱物資源の交易で繁栄したとみられ、都市発展の多様なプロセスもうかがえた」と語った。

 今年は8~9月に出土した大規模建物跡を中心に発掘を進め、建物跡の機能やさらに古い建物跡を探索する計画。

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