「単独出場は夢だった…」選手10人 市川昴 /夏の高校野球 千葉大会

「単独出場は夢だった…」選手10人 市川昴 /夏の高校野球 千葉大会

 11日、県総合SC野球場で行われた第3試合に臨んだ市川昴。粘り強く力を振り絞るも、0-9(7回コールド)で千城台に敗れ、最後の夏が終わった。

 チバテレ+プラス編集部はそんな市川昴を取材。 必死に戦った選手10人のうち、3年生選手はたったの3人。さらに、1人はバトミントン部引退後の助っ人選手だったため、1年生から3年間続けてきた3年生は、主将の橘田晄太朗選手と投手の長沼優誠選手の2人のみだ。

 試合後、2人とも涙ながらに思いを語った。

橘田主将

「3年生2人しかいなくて、1・2年生が多いチームだったが、みんな頑張ってくれて最後までみんなでやりきれた」

長沼選手

「一生懸命やってきたがやっぱり力不足のところがあった。最初の2回多く失点してしまって、みんなに顔向けできない状態だったが、キャプテンの橘田くんをはじめ、後輩たちもあきらめず最後まで戦ってくれて本当に感謝しかないです」

 1年生・2年生の夏は単独チームで出場するも、先輩が引退するたびに人数が減り、春は連合チームでの出場。 

 “最後の夏は単独チーム出場する”ことを目標に、2人は2人3脚でずっと2年半支えあい高め合ってきた。

橘田主将

「夏は単独で出たいと思って、それを目標にたった5人しかいなくても練習を頑張ってきたし、昼休みには1年生の教室をまわったりして部員集めを頑張った。1年生が5人入ってきてくれて、僕たちの夏の夢だった単独で出られるという夢が叶ったのは凄く嬉しかった。試合は負けたけど、悔いはないです」

 春の大会時、2月には肩を壊して全治6週間。練習が出来なかった時期もあったという橘田主将。ケガが治った頃の4月には部員数が5人から10人に。人が多くなったことで雰囲気も良くなったという。

   
橘田主将

「今日の試合で後輩たちはいつも以上に声を出してきてくれて、絶対勝ちたいという気持ちが伝わってきたのがとても印象的だった。1年生には初心者もいてキャッチボールすらできない子たちもいたが、今では成長したなと思います。振り返ると『辛い時に誰も下を向かないで楽しめるチームにしたい』という思いは達成できました」

長沼選手

「強豪校は人数多くて先輩後輩の関係は築きにくいと思うが、人数が少ないからこそ積極的に話しかけてきてくれてチームワークは他のチームよりは強いと思いました」

 今、お互いに対して思うことを聞くと…

橘田主将→ 長沼選手

「最初は高校で野球部に入るつもりはなくて、でも誘ってくれて2年半感謝しかないですし、入ってから喧嘩とか衝突も何回もあったけど辛い時も一緒に声かけあいながらがんばってこれた。1年生にも教えたりして、とても頼りにしていましたし、最後まで頼りになりました」

長沼選手 →橘田主将

「キャプテンという重圧、チームをまとめる大事な仕事をして引っ張ってきてくれて、自分は何もできなくて、本当に感謝しかないですし、チームを引っ張って来てくれて最後まで一緒にやってきてくれてありがとうという思いです」

 後輩に対してはー

長沼選手

「後輩たちも人数が少ないので、単独で出られるかわからないですが、最後まで諦めることなく自分たちのチームを作り上げて夏勝ってもらいたいと思います」

橘田主将

「まだキャプテンは決まっていないですが、キャプテンにはみんなが辛そうにしている時に自分が1番前に立って頑張れる人にキャプテンやってもらいたい。来年の夏は1勝してほしいです」

橘田主将の父親はー

「今朝はいつもより口数が少なく、自分で自分を落ち着かせているのかなと思いました。よくキャプテンとしてまとめたと思います。在校生も沢山応援に来てくれて、本当ありがたいです」

「(息子には)よくやったって言って伝えたい。もうちょっとやれたらな、流れがきたらなと思う部分もありますが、こればかりは仕方ない。流れをこっちにと必死にがんばった」

長沼選手の母親はー

「部員数が少ない中でも毎日練習をして、汗まみれ、泥まみれの姿はとってもかっこよかったです」

 最後、応援にかけつけた保護者や在校生に対し、橘田主将は「こんなに沢山の人に応援してもらったのに、勝てなくてごめんなさい。でもみなさんのおかげで悔いなく戦いきることができました。来年も後輩たちの試合があるので応援お願いします」と、涙を流しながらも大きな声で挨拶。保護者らは、最後まで温かい拍手で選手たちを称えた。

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