ワクチン接種情報が最新じゃない!? マイナカード、「不具合」以外にも潜在する問題

 別人の情報を紐付けてしまっていたり、保険証の情報を読み込めるようにして事実上一体化した「マイナ保険証」の読み取り不具合など数多くの問題が噴出しているマイナンバーカード。政府は「不具合は一部に過ぎない」「紐付け作業の間違いが原因でカード自体の問題ではない」等、火消しに必死だが、ここ数日の報道で、不具合がないとしても「紐づけた情報が古くて使えない」という問題も発覚し始めた。筆者がその情報の古さについて、自分のワクチン接種情報を確認することで実態を調べてみたので報告したい。

ワクチン接種情報が古い?

 ここ数日の報道で、新型コロナワクチンなどの接種情報について、マイナポータルで確認できる情報が最新ではなく、最悪で1年以上前の古い情報しか閲覧できない人が何千人もいるという点が指摘されている。また、マイナ保険証として情報を統合したマイナンバーカードを医療機関で読取機にかざした場合、読み取れた場合でも情報が古く、保険資格が確認できずにいったん全額自己負担になってしまう、という問題も指摘されている。この点について、筆者はマイナンバーカードを所持しているので、接種情報についてマイナポータルで自身の情報がどう表示されるか確認してみたので報告したい。

 まずスマートフォンでマイナポータルにアクセスし、マイナンバーカードをスマートフォン背部の指定の位置にあてがってチップの情報を読ませ、ログインする。PCだとマイナカードの情報を読みとるデバイスが別途必要となるので、その点においては利便性があると言えるだろう。

 ログインすると、マイナポータル経由で自身の様々な情報を閲覧できるようになるが、ログインしただけで見られるわけではなく、閲覧したい情報のカテゴリごとに情報を保持している機関に問い合わせ、都度引っ張ってくるような仕様になっている。仕組みとしてマイナポータル自体が情報を保持しているわけではない。

 個人情報が絡んでくるのである程度ぼかしてお話しするが、今回、ワクチン接種情報についてマイナポータル経由で自分の情報を取り込んでみたところ、先々月受けた新型コロナワクチン接種の情報が反映されておらず、半年以上も前に接種した、前回までの情報しか閲覧できなかった。5類に移行したのでもはや用途はないかもしれないが、旅行等で渡航先からワクチン接種の情報提示を求められた場合、これほどのタイムラグが生じるのでは困ってしまう。

 続いていまはほぼ役割を終えている状態だが、政府がパンデミック対応として開発、配布している「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」ではどのような情報が出るのか試してみた。さきほどと同様に、マイナカードのICチップ内の情報を読み込んで認証しないと情報が閲覧できない仕組みである。

 このアプリでは認証後、自動的に自分の接種情報を表示してくれるが、その画面を見ると、マイナポータルと違って先々月の接種情報がしっかり表示された。つまり、マイナポータルで閲覧できる情報と差が生まれてしまっているのである。

開発はどちらも同じデジタル庁なのに

 どちらも開発元はデジタル庁である。開発チームは違うかもしれないが、接種情報を表示するという同じ機能なのだから、共有して同様の結果にするようマネジメントするのが当たり前ではないだろうか。そもそも、画面にあるように「最新情報」を取得すると書いておきながら、数ヶ月も情報が古いというのはどういうことだろう。

 実際、保険証の情報を統合した「マイナ保険証」では、紐付けた情報自体が最新ではなく、そのためエラーとなったり読み取れても「保険資格がない」と表示される例が相次いでいる。デジタル庁はマイナンバーカードの利便性をいまだに声高に強調しているが、いま問題となっている「紐付けミス」をなくせばよいわけではなく、それぞれの最新情報を遅滞なく表示するにはどのように関係機関と調整すればよいか、早急に検討すべきではないか。

 これでは、たとえ「不具合」がなくなったとしても、さらにマイナンバーカード自体の問題ではないとしても、得られる情報が最新ではないのなら作っても意味がない、となりはしないか。

 今回は筆者自身の情報で少しだけリサーチしたのみだが、それだけでもいかにマイナンバーまわりの問題が根深いか実感する結果となってしまった。読者もマイナポータルで自身の情報が間違っていないか、最新の情報が得られるか、確認した方が身のためだろう。

© 合同会社ソシオタンク