移住支援金、茨城県内2.7倍 22年度 東京圏から184件

東京23区の居住・通勤者が東京圏外に移り住んだ際に支給を受けられる「移住支援金」は2022年度、茨城県では前年比2.7倍の184件に上ったことが11日、分かった。テレワークの普及による移住が約8割を占めるなど、コロナ禍でのライフスタイルの変化を反映した。県は地理的優位性を生かし、東京圏からの移住推進に力を入れる。

移住支援金は東京一極集中を是正しようと、国が19年度に始めた。東京23区の居住者か、東京圏の埼玉、千葉、東京、神奈川から23区に通勤している人が地方に移住し、一定条件を満たせば、1世帯につき100万円(単身者は60万円)を支給する。支給額の2分の1を国が、残る2分の1を県と市町村がそれぞれ負担する。

支給には、県内企業への就職▽県内での起業▽テレワーク移住▽移住体験ツアーの参加など「関係人口」として各市町村が設定した要件-の4項目のいずれかを満たす必要がある。22年度に子育て加算として、子ども1人に30万円の支給を始め、23年度には100万円に拡充した。

22年度の県内の支援金交付件数は、前年度の68件から184件へ大幅に増加。内訳は世帯が107件、単身者が77件だった。子育て加算は79人分の交付があった。

支給の要件別では「テレワーク移住」が前年から3.1倍増となる144件で最も多く、全体の78.3%を占めた。「関係人口」が30件、「県内企業への就業」が8件、「県内での起業」が2件だった。

市町村別で交付件数が最も多かったのは、取手市の36件で全体の約2割。次いで、日立市27件▽土浦市19件▽水戸市17件▽ひたちなか市11件-など。東京圏とのアクセスが良いJR常磐線沿線への移住が目立った。

県はコロナ禍を機に、テレワークの普及や働き方の変化などが背景にあるとみて、引き続き、県内移住への需要拡大に期待する。23年度は前年度に比べ4割増となる257件の申請を見込んだ予算を計上。子育て加算についても、2倍増となる160人余りの交付を想定する。

これまで県は「県北起業型地域おこし協力隊」の委嘱や、専門技術を持つ都市部の人材が「副業協力隊」として県内企業と連携するためのマッチングなど、移住を推進してきた。県計画推進課は「東京圏との近接性や住みやすさなど強みを生かし、市町村と連携した情報発信に努めたい」としている。

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