【コラム】市場縮小期の今、お店の真価が問われている!(WEB版)/チャーリー・ロドリゲス・湯谷

1. スマート遊技機の評価は?
「パチンコ新時代」を迎え、昨年11月よりスマスロ、今年4月にスマパチが市場投入されました。今後、時間はかかりそうですが、新機種の大半がスマート遊技機へと移行するのは確定的です。しかし、スマート遊技機の現段階の評価は、パチンコとスロットで大きく二分しています。まず、スロットの方が「もはや、新機種はS機でなくL機でないと集客しにくい」という声がホールから上がっていて、且つ、稼働成績も特定機種に絞られています。今後、S機・L機ともに多数新機種が登場予定ですが、特にS機については苦戦する事が予想されます。

一方パチンコは、スマート遊技機であるe機の数は少なく、評価が難しいところですが、ホール関係者の声を聴くと「まだ無理をしてスマパチを導入するタイミングではないのでは?」という意見が多かったですね。投資の優先順位や今後のタイミングの問題もありますが、P機より「圧倒的に」稼働が良いということもなく「明確に差別化できる点がユーザーに浸透されていない」ことや、むしろ初当たり確率の辛さ等「P機よりe機のデメリットの方を強く感じている」ようです。

あくまで現段階の評価の一部ではありますが、ホールは今後の投資戦略を再考する必要はありそうです。また、既に遊技機メーカーは「スマパチ・スマスロ」開発に重点シフトしていますし、少しずつスマート遊技機の理解度も深まる事が予想されるので、機会損失のないよう、市場動向については最新情報入手のため、アンテナを広げて欲しいと思います。

2. まだまだ「ギャンブル化」は進む!
パチンコ業界が望もうと望むまいと、市場の求めるパチンコ業界の姿は「ギャンブル」だと、個人的には考えます。もちろん、だからこそ「安く、気軽に遊べる場所の提供」を考え、差別化に光を見出すホールも存在し、お店のコンセプトは法人によりマチマチであります。

しかし、お客様の要望・ニーズに応えようと考えれば考えるほどパチンコ店の「ギャンブル化」は今や必要条件で、それは低貸業態であってもその傾向は顕著です。金銭消費型の余暇提供の一方、そこには非日常の提供やワクワク・ドキドキ感、期待感等に加え、パチンコ店に「自分の居場所を求める」という、承認欲求を満たす場としてもニーズはあるようです。

結局、全てのお客様の要望・ニーズに応えるのは困難なので、お店はいかに「お客様一人ひとりを見ているか?」「ギャンブルと遊びの空間、どうやってバランスをとり、作っていくか?」という施策が必要になるのでしょう。なぜなら基本、勝てそうにないお店には行かないのが当然で、「楽しそうに見えない」お店にも足が向かないのも当たり前のことです。この「ギャンブル化」と同時に「楽しさ」をどうやってお店は演出できるか?が今後、鍵になりそうです。

3. 楽しそうなお店の条件とは?
「あのパチンコ店は勝てそう」という期待感の高い優良店は全国に多数ありますが、あのお店は「楽しそう」というお店は少ないです。背景に個々人でも価値観が異なりますし、それほどお気に入りのお店がたくさんあるとは考えづらい面があるからです。

現在「大型店・巨艦店」「新台導入の多さ」や「希少価値のある未経験機種の設置」等、ハード面で他店と差別化されているお店はあります。しかし、定性的ですが自分の部屋のような「居心地の良さ」であったり、いつ訪店しても新しい発見があるような「変化の早いお店」であったりと、ソフト面での心証アップ策を打っているお店は非常に少ないです。ややもすると、ハード面にばかり投資する傾向なのに、ソフト面の「力の入れ方」は非常に薄いと感じます。このソフトの強さは圧倒的な差別化要因ですので、改めて、企業は「人に対する投資」も再考してもらいたいところです。

4. パチンコ店は5000店舗に?
現在パチンコ店は7000店舗を切る市場規模ですが、今後数年、特定法人の寡占化・大型化が進み、最終的には5000店舗を切る程度になるのでは?という悲観的予測もあります。背景に景況感の悪化・超高齢化社会等の深刻な社会問題もありますが、一番はお客様を増やすための「打ち手」が、現段階で少ないという事です。

法律的な壁はもちろん、射幸の高さだけでユーザーを増やすというのも限界がありますので、今後、どうやって他店との「差別化」を図るのか?まさに、今、お店の真価が問われています。

■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!

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