大分県、移住と転職を後押し ITや福祉分野対象、資格取得など支援【大分県】

ティ-アンドエスおおいた玖珠支店で働く岡崎寧乙さん。新しい職場で張り切る=玖珠町帆足
県内の移住者数の推移

 県はITや福祉分野で働く意欲のある移住者を呼び込むため、スキルや資格の取得を支援している。オンラインでの講座受講を通して移住前から学ぶことができ、県内の就職先を探す手助けもする。業界の人手不足改善と定住人口増につなげる狙い。新型コロナウイルス禍以降の地方回帰やテレワークの普及で移住に関心を持つ人の取り込みを図る。

 システム開発のティーアンドエスおおいた玖珠支店(玖珠町帆足)で働く岡崎寧乙(ねお)さん(24)は、2022年3月に秋田市から移り住んだ。洋菓子店で働いていたが、プログラミングに関心を持ち、転職を考えていた際、大分県の支援制度を知った。

 オンラインの無料プログラミングスクールで約半年間学び、現在の仕事も紹介してもらった。「知らない土地に引っ越し、全く別の仕事に踏み出す不安に寄り添ってくれて助かった」と振り返る。今は町情報を提供するスマートフォン用アプリ「りんくす」の運用を担当している。

 支援制度は21年度から、IT分野の就職を目指す移住希望者を対象に始めた。ウェブサイトのエンジニアやデザインなどはさまざまな業種で必要な技術で、関連の企業進出も続いていることから需要増が見込まれている。22年度からは人手不足が深刻な看護・保育・介護職などの希望者も加えた。

 ▽ITスクール受講費用▽看護学校入校時の奨励金(20万円)▽保育士試験受験対策講座の受講費▽職場見学などでの大分県への旅費(2回)―などを出している。利用には「5年以上県内で暮らす」などの条件を設けている。

 制度を利用したのは21年度が39人、22年度は36人。主に若年層の就職を支援しており、単身の20~30代の利用が多い。大分市や別府市での居住が半数以上を占める。本年度は80人を募集している。

 県おおいた創生推進課は「福祉と移住の組み合わせは全国的にも珍しいのではないか。伴走型の支援を通して移住と転職の両方を後押ししたい」と力を込めた。

<メモ>

 本年度募集している内訳はIT50人、看護職10人、保育士10人、介護職10人。転勤や進学による移住者は対象外。申し込むには直近1年間は大分県以外に住民票があることなどの条件がある。募集は9月30日まで。

© 有限会社大分合同新聞社