ソニー、「α6700」発売。BIONZ XRやAIプロセッシングユニットなど最新技術を搭載したAPS-Cモデル登場

ソニーは、BIONZ XRやAIプロセッシングユニットなどの最新技術と機動力を備えたAPS-Cモデルのミラーレスカメラ「α6700」を2023年7月28日に発売する。価格はオープン。ラインナップと市場推定価格は以下の通り。

  • ボディのみ:税込218,900円
  • レンズキット(E18-135mm F3.5-5.6 OSS):税込262,900円

最新画像処理エンジンと裏面照射型CMOSセンサー搭載で高い描写性能を実現

α6700は、裏面照射型CMOSセンサーを採用。α6600の表面照射型から強化されている。有効画素数はα6600の24.2メガピクセルから26メガピクセルに向上し、画像処理エンジンはBIONZ XRを搭載。フラグシップモデルのα1と同じBIONZ XRを搭載することで、画質面や階調性能、色再現性、ノイズ性能、操作時のレスポンスが向上している。

高感度ノイズ性能は、常用ISO感度100から32000(静止画、動画撮影時)、拡張ISO感度は50から102400(静止画影時)を実現し、幅広い高感度耐性を持っている。

色再現性でもα7R Vで好評のフルサイズ機で培ったアルゴリズムをふんだんに取り込んでおり、静止画、動画撮影時の画面内の顔の肌領域を検出し、最適な明るさになるAEアルゴリズムを搭載。AE制御はα6600比で約20%安定している。

これまでのα6600と同様に5段のボディ内手ブレ補正を搭載。さらに新アルゴリズムにより、1画素レベルの微細なブレ量を検出し、補正を可能としている。

画質性能面では、クリエティブルックをα6000シリーズで初めて搭載。全10種類から選べるプリセットがあり、さらにそこから最大8項目についてユーザー自身で画質を調整可能。高圧縮で高画質を実現するHEIFフォーマットやRAWファイルはロスレス圧縮にも対応するように改善されている。

また、従来よりも広いレンジの明るさを大画面で楽しめるHLG静止画モードを搭載。本モードで撮影したHEIF画像は、α6700を通して表示した際にダイナミックレンジの広い明るさを大画面で楽しめるという。

AIプロセッシングユニット搭載でリアルタイム認識AFにも対応

AF性能については、AIプロセッシングユニットを搭載し、α7R Vで新しく搭載したリアルタイム認識AFにも対応。人物の瞳の認識精度はα6600から60%向上。姿勢推定技術を用いて、人間の胴体や頭部の位置をより高精度に認識する。

姿勢推定技術を用いて人物の認識を可能にしている。後ろ向きの人物を捉えることが可能になるという

AF性能は大幅に向上しており、人物以外の被写体の認識は、動物、鳥、昆虫、車、列車、飛行機に対応。動物の認識性能はα6600比で40%向上しているという。

飛行機の認識にも対応する

リアルタイムトラッキングも大幅に向上しており、AFの測距点数は最大759点の像面位相差AF点を配置。α6600の425点から大幅に増えており、静止画撮影時の93%をカバーする。EV-3.0の暗いシーンでも捕捉が可能になるという。

また、α7R Vにも搭載されていたフルタイムDMF機能やフォーカスブラケット機能など新しく搭載。α7R Vにも搭載されている機能をα6700に搭載してきている。

高速性については、最高約11コマ/秒、サイレント撮影の時においても11コマ/秒の連写が可能。サイレント撮影時はα6600よりも更にコマ速が上がっている。連写持続性能も進化しており、1,000枚以上のストレスのない高速連続撮影を可能としている。

また、フリッカーレス撮影に新しく対応。メカシャッターでの静止画撮影時に蛍光灯などの人工光源の点滅によるちらつき(フリッカー)を自動的に検出して、フリッカーレスな静止画の撮影を可能としている。

Cinema Lineの性能を引き継いた動画機能

動画性能は、Cinema Lineから受け継いだ高い描画性能を特徴としている。6Kオーバーサンプリングによる4K解像を搭載し、感度性能に関しても、ISO100から32000に対応。14ストップのワイドラチチュードに対応する。BIONZ XRを搭載することにより、画質も大幅に向上しているという。

シネマのようなルックを手軽に再現できるS-Cinetoneに対応。S-Log3やlog撮影時にユーザー好みのLUTをカメラモニター映像に表示可能としている。

またAll IntraのXAVC S-Iの高画質な動画形式や10ビット4:2:2にも対応。こちらもCinema Lineから受け継いだ動画性能を実現している。

動画時でもリアルタイム認識AFを搭載し、被写体もしっかり認識可能としている。リアルタイムトラッキングにより、追従性能も向上しているという。

ファストハイブリッドAFを搭載し、位相差とコントラストのハイブリッドにAFを合わせを実現している。動画時の測距点に関しては495点で、静止画よりも少し減ってしまうが、高いAF性能を実現する。その他にもAFアシスト、フォーカスマップ機能、ピーキング表示、ブリージング補正など、α7 IVで追加された新機能に対応してきている。

もう一つ大きな機能として4K120P記録も対応。38%の画角クロップがあるが、大きな機能追加といっていいだろう。S&Qモードは、4K解像度で記録フレームレートを24Pにすれば最大5倍のスローモーション映像を記録可能。また、APS-Cユーザーから長年要望が強かったアクティブモードに対応。動画時の高性能手ブレ補正が可能になる。

VLOGCAMシリーズの「ZV-E1」に搭載されたオートフレーミング機能やカメラ内で生成できるタイムラプスにも対応し、音質に関してはデジタルオーディオインターフェースにも対応。風切り音を低減する機能も新しく搭載している。

従来機種と同じサイズを実現しながら操作性や信頼性を改善

ボディサイズに関して、従来機種とほぼ同等のサイズを実現している。グリップ部分の厚みは増しており、69mmになっている。重量はα6600から約10グラム軽量化を実現している。

操作性は、α6000シリーズで待望されていた前ダイヤルを追加。今までは後ダイヤルとコントロールホイールのみだったが、前ダイヤルを追加したことにより、より操作性が向上している。また、α7 IVそしてα7R Vでも搭載している「静止画/動画/S&Q切り替えダイヤル」を新しく搭載。動画静止画をシームレスに切り替えて、記録撮影を可能としている。

好みの機能をアサインできる前ダイヤルを搭載
「静止画/動画/S&Q切り替えダイヤル」を新しく搭載

ファインダーは、約236万ドットの高性能な電子ビューファインダー、液晶モニターは、バリアングル型をα6000シリーズでは初めて搭載。タッチ対応メニューに対応し、直感的な操作が可能。タッチフォーカス、タッチシャッターにも対応しているほか、ピンチアウト、ピンチインなど再生時に直感的に操作することを可能としている。

3インチバリアリング液晶モニターを搭載
直感的なタッチ操作に対応する

自由な表現を手軽に楽しめる「マイイメージスタイル」を新しく搭載。こちらはVLOGCAMシリーズのZV-1 IIで搭載されている機能で、より直感的な明るさやボケの操作が可能になるという。

信頼性に関しては、長時間の撮影を支えるZバッテリーに対応。フルサイズ機と共通のバッテリーを搭載しており、長時間の撮影にも耐えうるスタミナ性能を特徴としている。

USB PD対応で、高速充電に可能。防塵防滴にも配慮した設計になっているという。約20万回のレリーズの耐久性能をを実現した高耐久シャッターを搭載する。

最新機能とコストパフォーマンスを兼ね備えたAPS-Cモデル登場

α6700は、α6400とα6600からフルモデルチェンジ並の大幅な進化を実現している。画素数も向上し、画像処理エンジンも変わって、オートフォーカス性能、AIプロセッシングユニットが搭載されるようになり、動画性能4K120Pに対応。液晶モニターもバリアブル対応など、フルサイズのα7 IVと比べても遜色ないスペックを実現してきている。「フルサイズか?」「APS-Cか?」どちらを選ぶか大いに悩みそうだ。

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