最重度障害者の新施設 茨城県立あすなろの郷 水戸で建て替え起工式

「セーフティネット棟」のイメージ図=県提供

障害者支援施設「茨城県立あすなろの郷」(水戸市杉崎町)の最重度障害者向け施設「セーフティネット棟」の起工式が12日、敷地内の建設予定地で開かれた。県関係者など約40人が出席し、工事の安全を祈願した。新施設は居室や病院などの機能を担う2棟で構成され、入所定員は200人。2025年度に供用開始予定で、建設費は約109億5千万円を見込む。

老朽化した築50年の既存施設を建て替える。現在は軽度から最重度までの知的障害者が利用しているが、新施設は民間で対応困難とされる最重度の障害者の受け入れに特化し、漏れなく支援を受けられるセーフティーネットの役割を担う。最重度の利用者に特化した施設とするのは、民間の関係施設の増加によって中軽度の障害者を受け入れる環境が相対的に整ってきたことが背景にある。

新施設は医療的ケアが必要な障害者が入所し病院や通所機能も設ける棟(2階建て、延べ床1万3195平方メートル)と、強度行動障害のある障害者が入所する棟(1階建て、延べ床5289平方メートル)で構成。供用開始と同時に既存施設から最重度の利用者約190人が移り、中軽度の利用者は03年に敷地内に整備された別棟を活用する。

式典で、大井川和彦知事は「これまで以上に最重度障害者に対して充実した支援が行えるよう、最大限の努力をしたい」とあいさつ。石井邦一県議会議長は「素晴らしい施設として竣工(しゅんこう)するよう願う」と述べた。

県立あすなろの郷は、県社会福祉事業団が指定管理者として運営。1973年に「コロニーあすなろ」として開設し、2003年に内原厚生園と統合して、現在の施設名に改称した。

© 株式会社茨城新聞社