海自大湊地方隊を改編へ、横須賀に統合検討 護衛艦は1隻増、定員維持

むつ市の海自大湊地方総監部。大湊地方隊が横須賀地方隊所属となる組織改編が検討されている=12日

 防衛省が海上自衛隊の体制を見直し、大湊地方隊(青森県むつ市)について横須賀地方隊(神奈川県)への統合を検討していることが12日、東奥日報の取材で分かった。北方海域を含む広範囲を横須賀地方隊が一括して運用できる体制に改編する。大湊を拠点としている護衛艦は1隻増やして8隻体制にする方針。大湊地区全体で約3千人規模の定員は維持する方向で、調整が進められる見通しだ。

 大湊地方隊は、津軽海峡と宗谷海峡を含む青森県以北の海域を警備。むつ市内に大湊地方総監部を置き、警備隊や弾薬整備補給所、音楽隊などの直轄部隊で編成。北海道内にも部隊がある。

 関係者の話を総合すると統合・改編により横須賀地方隊が太平洋に加えて宗谷海峡までを受け持つことで、戦略上重要な海域で一体的な動きを取れるようになる。大湊は横須賀の指揮下に入るが、大湊を拠点とする部隊の機能は大きくは変わらないとみられる。

 最新鋭の護衛艦「しらぬい」(乗員約220人)をはじめ、大湊を拠点とする護衛艦は現在7隻。防衛省は改編に伴って1隻増やすことで、北方海域での警戒体制を強化したい考えだ。

 地元の山本知也むつ市長は「事実関係を確認中だが率直な気持ちとしては残念」とした上で、「これまで海自とともに歩んできた歴史があり、地域への配慮はいただけるものと考える。今後も引き続き、海自と良好な関係を築きたい」とのコメントを出した。

 地方隊は舞鶴(京都府)、呉(広島県)、佐世保(長崎県)を含めて全国に五つあり、いずれも海将の地方総監をトップに据える。大湊は、1953年に保安庁(当時)の地方隊として発足した。他の地方隊の改編の有無は明らかになっていない。

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