「一貫性がないのは不公平だ」ガスリー、ストロールにペナルティを科さなかったスチュワードの裁定に困惑/F1第11戦

 アルピーヌのピエール・ガスリーは、F1第11戦イギリスGPでトラックリミットを外れて行われたランス・ストロール(アストンマーティン)のオーバーテイクにペナルティを科さないというFIAのスチュワードの判断に非常に困惑しており、説明を求めると述べた。

 ストロールのオーバーテイクは、レース後半のセーフティカー終了後のリスタート時に起きた。ストロールはストウコーナーの外側からガスリーにアタックを仕掛けた。ストロールはコーナー半ばでガスリーに追いついたが、ガスリーはストロールにスペースをほとんど残さなかったため、ストロールは四輪すべてがコースから外れた状態でガスリーを追い抜いた。

 スチュワードはこのインシデントに目を留め、ストロールに黒白旗を出したが、順位を戻すように要請することはなかった。ガスリーが激怒したのは、ストロールの追い抜きがコースを外れてアドバンテージを得るという、明白なケースだと信じていたからだ。

「僕にとってはかなり明白なことで、これは常にレギュレーションで規定されることだ。彼はコースを離れてアドバンテージを得ることはできない」

「僕が見た限りでは、彼は四輪がコースからはずれた状態で僕を追い抜いた。それはアドバンテージを得たということだ」

「先週末に僕はトラックリミット違反で15秒のペナルティを受けた。それが今日は、他の誰かがコースを外れたのに何のお咎めもないために僕が順位を失った!」

「F2ではビクター・マルタンスが首位だったが、まったく同じことで5秒ペナルティを受けたから、今の時点で何が起きているのかすごく混乱している」

 ガスリーは、ストロールにもう少しスペースを与えることができた可能性については認めたが、それでもストロールが“タイヤひとつ”をコースに残すのに十分なスペースを確保しており、それにもかかわらず「彼はそうしなかった」と主張した。

「僕は様々な状況で代償を払ってきた。一貫性がないのは不公平だ」

「次のレースでは、レーストラックを外れてオーバーテイクすることが許可されるんじゃないかな。そして突然、5秒ペナルティを受けるんだ」

「まったく理解できないし、不公平だと思う。トラックリミットなのに、黒白旗だ。黒白旗だよ! コース上にいたか、いなかったかということなのに」

「レーストラックを外れてアドバンテージを得たら、5秒ペナルティを受けるか、ポジションを返上することになっているんだ」

2023年F1第11戦イギリスGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)&ランス・ストロール(アストンマーティン)

 スチュワードの一貫性のなさに不満を抱いたガスリーは、スチュワードに適切な説明を求めると語った。

「明確でなければならない。僕たちは時速350kmでレースをしている。先週僕たちは、適切な警告を受けていないと思われる内容でペナルティを受けた。そして僕はこのような状況に陥った。彼がコースを外れるのを見た瞬間に、『彼はポジションを戻すだろう』と思った」

「彼の後ろで3周走った。彼はギヤボックスのせいでタイムをロスしていて、僕はそこにいるべきではなかった」

「僕はただ一貫性を求めているだけだ。それが許されるなら、問題ない。でも全員に許可されなければならない」

 ガスリーの怒りは、ストロールのオーバーテイクが「その後の状況を変えた」ことにも根ざしていた。ストロールはシルバーストンの最終複合コーナーでワイドになり、コースに再合流したが、動きが悪くガスリーにふたたび衝突して、右のリヤサスペンションを損壊したのだ。この件では、ストロールはスチュワードから5秒のタイムペナルティを科せられた。しかしレースからリタイアを余儀なくされたガスリーにとって、それは何の慰めにもならなかった。

「心底がっかりした。レースの序盤は順調だったからだ。僕たちはフェルナンド(アロンソ/アストンマーティン)を追いかけていて、いいスピードが出ていた」

「何かを試して彼に勝負するにはストレートスピードが足りていなかったが、あの集団にいられたのはよかった。その後に起きたことで、僕たちの努力は台無しにされた。本当にがっかりだよ」

2023年F1第11戦イギリスGP ランス・ストロール(アストンマーティン)&ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

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