慶応・清原、初先発は無安打 打撃手応え「感触悪くない」 スタンドで見守った父の教えは

【慶応―津久井浜】第1打席で四球を選んだ慶応の清原=サーティーフォー保土ケ谷

 スラッガーは夏の苦しみの中にいる。

 慶応の清原が7番サードで今大会初出場、初先発。しかし2打数ノーヒット、1四球に終わり、六回の守備から交代を告げられた。

 選抜甲子園では、背番号5をまとって初打席初ヒット。かつて父・和博さんが大活躍した高校野球の聖地を大いに沸かせた。

 だが、春の県大会、関東大会では「競争、変化」というチームの方針でレギュラーポジションは白紙に。本来はサードだが、セカンド、ファーストにも挑戦することで出場機会獲得を目指してきた。

 背番号15で臨む初めての神奈川の夏。この日の3回戦でようようやくチャンスが巡り、「出たら、やってやる」と意気込んで保土ケ谷のグラウンドに立った。

 初回の守り、初球のサードゴロを難なくさばく。二回の第1打席は、2ボールとなったところで一走が刺されてチェンジ。三回の第2打席は四球で出塁し、八木の適時打で先制のホームを踏んだ。

 しかし肝心の打撃は快音が鳴らず。四回は無死二塁から低めの変化球を引っかけながら遊ゴロの進塁打。五回は2死一、二塁で詰まったライトフライに倒れた。

 学校のテスト期間明けで、必ずしも体調は万全ではない。「でも、そこでやらないといけない」と清原。悔しさは隠しようがないが、「打撃の感触は悪くなかった。チー
ム打撃を意識していく」と手応えもある。

 森林貴彦監督(50)は「大会中だが、まだメンバーは決まっていない。(優勝までに)7試合。1戦必勝ではあるけど、7試合目にいいコンディションになれるかが大事」とした上で、「清原も15番をつけているがレギュラー争いをしている。まだまだ調子を上げてもらいたい」と期待を寄せる。

 「試合に出られるなら(ポジションは)どこでもいい」という切迫感と、「チームの中で切磋琢磨して、そして勝つことが楽しい」という充実感と。今の清原には、その二つの思いが共存している。

 「悔いなくやりなさい」。最初で最後の夏。この日もスタンドで観戦した父からの教えは、とてもシンプルだった。

© 株式会社神奈川新聞社