Adoの「うっせぇわ」作詞作曲 人気ボカロPのsyudouさん(本県出身) 「チェンソーマン」ED曲も 【PLAY とちぎYouTube】

syudou Live 2023「我武者羅」を開催するなどシンガー・ソングライターとしても活躍する(Shingo Tamai撮影)

 喜びも、悲しみも、楽しさも、悔しさも-。ありのままの自分をさらけ出す。それが、syudouさんの音楽だ。

 音声合成ソフト「ボーカロイド(ボカロ)」を使った作曲家「ボカロP」として知られるsyudouさん。山梨県で生まれ、物心がつく前に栃木県へ移り住んだ。

 音楽好きの家族の中で育ち、小さい頃から音楽に親しんできた。ボカロを知ったのは「初音(はつね)ミク」が発売された2007年ごろ。いろんなボカロ曲を聴く中で、当時「ハチ」という名前で活動していた米津玄師(よねづけんし)さんの作品に心を打たれた。「自分も曲を作りたい」。そう志した。

 高校生の頃から作曲を始め、県外の大学に進学した14年からは、より集中して取り組むように。「音楽で食べていきたい」と夢を抱き、デモテープを送るが、うまくはいかなかった。

 もう駄目だ、これからは趣味で音楽をやろう-。大学4年の冬。そんなラフな気持ちで仕上げた「邪魔」という曲を投稿すると、多くの人が聞いてくれた。「自分の素をさらけ出した曲作りの原点になった」と振り返る。

 大学卒業後は本県へ戻って会社員として働きながら、曲作りを続けた。19年1月の「ビターチョコデコレーション」でさらに注目を集めると、依頼が入ってくるように。20年2月ごろに退職し、上京して音楽で生活していく覚悟を決めた。そして、転機が訪れる。

 うっせぇうっせぇうっせぇわ-。このフレーズでおなじみのAdoさんの「うっせぇわ」は、syudouさんが作詞作曲した。制作時期は、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃。上京時期の延期を余儀なくされた中での作業だった。「都会の喧噪(けんそう)の中じゃなく、田んぼのど真ん中で生まれた」と大ヒット曲の秘話を明かす。

 21年からはシンガー・ソングライターとしても活動。アニメのオープニング曲などを手掛け、今年6月下旬にはファーストアルバム「露骨」を発売した。収録曲「恥さらし」は、地方から上京して感じた都会への劣等感をストレートに表現した。「この気持ちが伝わるとうれしい」と話す。

 「自分の気持ちをあけすけにした曲」が、音楽ジャンルの一つとして確立することを、目標に掲げる。そのためにも「今が頑張り時だ」と実感する。自分の音楽が、誰かの憧れになる日を願って-。ありのままの感情を歌詞に、メロディーに載せていく。

◆syudouさん◆

1995年9月27日生まれ。2012年、インターネット上での活動を始め、「コールボーイ」、「キュートなカノジョ」などヒット曲を発表。アーティストへの楽曲提供も行う。シンガーソングライターとして、アニメ「チェンソーマン」第5話のエンディングテーマを担当した。

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【初音ミク】ビターチョコデコレーション【syudou】
ファーストアルバム「露骨」
【syudou】恥さらし
syudouさん

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