【インタビュー】Jリーグ野々村チェアマンが語る 「愛媛FC・FC今治の現在地と展望ーー」 前編

7月、Jリーグの野々村芳和(ののむらよしかづ)チェアマンがJ3に所属する「愛媛」、「今治」両クラブの視察で愛媛を訪れました。
現在、J2昇格争いを繰り広げる両クラブの展望について7日、あいテレビ・横山岳アナウンサーが聞きました。

<野々村チェアマン>
静岡出身の51歳。現役時代はジェフユナイテッド千葉や北海道コンサドーレ札幌で活躍後、コンサドーレの社長や会長などを務め、去年3月、チェアマンに就任。

今シーズン、混戦を極めるJ3

今シーズンのJ3、ここまでご覧になってーー

野々村:混戦。例年このチームはこのカテゴリーでは抜けているかもなというチームがシーズンの半分くらい試合すると分かるのが通常だがそれがなかなか今年のJ3は分からない。どこがいってもおかしくない。
変な話、順位が真ん中くらいのクラブも昇格のチャンスがあるのではないかというくらい混戦だと思っている。

混戦の理由はーー

野々村:資金力があるから必ず勝てるわけではないのがJリーグ。その辺の兼ね合いも含めてサッカーをうまく作れているクラブが多い。
それも序盤はあまりうまくいっていなかったけどだんだんうまく作れてきたというクラブが多いのも混戦の理由の一つ。

J3の現在地は

リーグのレベルも上がっているかーー

野々村:日本人選手の質とか指導者の質も当然上がってきているし、J3ではそんなに多くはないが日本人だけでなく海外の選手をどうクラブでうまくチームとしてはめていくかということも大事。
FC今治はそういう意味でうまくやれている印象。

J3は第16節を終え、愛媛勢2チームが上位(愛媛FC2位、FC今治4位)につけているがここまで2チームの戦いぶりはどうかーー

野々村:愛媛FCは2年目の石丸監督が去年からトライしていることの延長線上でバージョンアップしながら今があると思うが、去年1年も含めてチームを作ってきているところでの完成度がだんだん上がってきている。
FC今治は髙木監督が監督として初めてトライするシーズンで、コーチでやっていたとはいえ、やるサッカーや表現しようとするものが結構変わったと思う。
データだけ見ると去年とは全然違い、よりペナルティエリアの中に入っていける回数がJ3で2番目くらいに多いと思う。
よりゴールに近づいている。見ている人にとっては非常に楽しいサッカーをやれていると思う。

これまで歩んできた歴史が全く異なる両チームだがーー

野々村:背景が全然違う。出来上がった背景、今チームが調子が良いってことも含めて、今がチャンス。クラブとしての底力をつけるチャンス。
その底力というのは僕はサポーターの熱量みたいなところだと思う。
今までも多くの人がサポーターとしてクラブと一緒に戦ってきてくれたと思うが、そのサポーターの熱量や人数自体をもっと増やすすごくいいチャンスで、増やせるかどうかは今のチームとサポーターの一体感みたいなもの。
良いものが見せられるとファンだった人たちがサポーターになってくれると思う。それを実現するだけの良い”作品”の要素は両クラブ共にある。
歴史的な背景は違えど、スタジアムに行くとこのクラブ楽しいなと思ってもらえるものがしっかりと用意されていると思って、あとはチームが勝ってまた来たいなと思う新しい人たちを連れてきてくれるような良い結果を出してくれるといいと思っている。
その中で両クラブのサポーターはすごく大きな役割を果たしてくれていると思う。

愛媛FCの昇格に必要なこと

愛媛FCは2006年から15年間J2を戦ったーー

野々村:歴史ももう長いし、地域とのつながりもしっかりとしてきていると思う。
ただこの世界、上に上がっていくのは本当に難しいので、上がるためにもっともっとつながりを強固にして多くの人たちを巻き込んでみたいなことが必要なんだろうなとは思う。
とはいえ15年間、J2にいたというのは普通にそれはそれですごいことだと思う。
多くの人はもっとそこに居続けてほしいとか、その上のカテゴリーにいってほしいと思うかもしれないが、今、日本の中でJクラブだけでも60クラブあって、Jリーグを目指しているクラブも合わせると100ぐらいあると思う。
その中でそのポジションに居続けるとかその上にいくというのは、本当に難しい。だからネガティブになる要素は全然ない。

愛媛FCは2022年からJ3に。J2復帰を果たすために必要なことはーー

野々村:もう1回上に上がって、J2にしっかりとい続けることができるかどうかも難しいという話を今したが、居続けるだけであっても、もっと大きくクラブが成長する、これは売り上げも含めて。そういうのがないと現実難しくなってくる。
時おり、そのJリーグだけじゃなくて世界のサッカーリーグの中でもすごく資金的には恵まれないが、上のカテゴリーに上がったということはよくある話だが、きっと上がるだけでは満足しない。
上がってそこに定着してその上を目指していくということを考えるとクラブがよりどう成長できるかということに尽きると思う。
そのためにも仲間がどれだけ増えるかが大事だと思って、いかにサポーターの熱量を上げて新しい人たちをスタジアムに呼んでこれるか、それが一番必要なことかなと思う。どのクラブにも当てはまる話ではあるが。

*************************************

第2話では、選手時代の監督だった岡田武史氏が会長を務める、FC今治についての評価や、岡田氏との思い出をお送りします。

© 株式会社あいテレビ