【清宮海斗インタビュー】G1は全試合対抗戦のつもり。優勝して『清宮海斗のいるNOAHを見たい』と思わせます

(プロフィール)
1996年7月17日、埼玉県出身。26歳。
三沢光晴に憧れて18歳でプロレスリング・ノアに入団。
海外武者修行を経て、2018年、GHCヘビー級王座戴冠。22歳での王座奪取は史上最年少記録。
G1CLIMAXに他団体の日本人レスラーが参戦するのは2016年の丸藤正道、中嶋勝彦以来。
なお、G1出場のために清宮はNOAHの13大会(7・15後楽園ホール~8・28川崎大会)を欠場する。

新日本プロレス真夏の最強決定戦「G1 CLIMAX33」に、他団体所属の日本人レスラーとして7年ぶりに参戦する清宮海斗(プロレスリング・ノア)。

常々「NOAHのために」「NOAHを盛り上げる」と誰よりも「NOAH愛」の強い清宮が、NOAHの13大会を欠場してまでG1参戦を決意した思いとは何か。

G1直前、清宮がその胸中を「プロレスTODAY」に明かした。

**今の図式を変えるため、

NOAHを休んで新日本プロレスG1参戦を決めました。**

――清宮選手がプロレスファンの頃に「記憶に残っているG1」といえば?

「自分はG1を見たいと思ってプロレス専門サイトに入会したりもしてなくて、夜中の番組でダイジェストを見て、覚えてるのはオカダ・カズチカ選手が一気に出てきた時ですね。なんだこの人は、というのが一番印象に残ってるG1です」

――新日本プロレスを会場に見に行ったりはしました?

「新日本プロレスは本当に数回だけですね。会場で見てたのはプロレスリング・ノアです」

――本当に「NOAH命」なんですね。その清宮選手にとって「G1出場、その期間はNOAHの大会を欠場」ということに対してはどう思いましたか?

「考えましたよ。今のNOAHは、ABEMAさんで放送されることで反響の大きさを感じていますし。日々『流れが早いな』とリング内にいても感じるんです。自分がこの勢いの中に入ってもっと盛り上げていきたい、という気持ちがあるので、N-1VICTORY(公式戦:8月6日横浜武道館~8月27日カルッツかわさき。優勝決定戦:9月3日エディオンアリーナ大阪第1競技場)というNOAHの年に一度のシングルリーグでNo.1を決める戦いは大きなものですから。そこを欠場してまで、というので迷いというかやっぱり考えました。でも、今まで新日本プロレスとの差を感じてきて、ずっと変わっていなかった状況をここで変えられるんじゃないか。本当にNOAHを広げていくために、今の図式を変えてNOAHがもっと前に進むために新日本プロレスに出よう、と」

――「G1出場」は清宮選手自身の意思だったんですね。

「そうですね。オファーをいただいて会社から話を聞いた時は『清宮がG1に出たら面白い、と新日本プロレスも思ってくれているんだな』と思いましたし」

――清宮選手が入ったことで「Aブロックは予選リーグ最注目ブロック」になりましたよ。

「注目して貰えるのはありがたいですね」

――Aブロックの顔ぶれを見て、清宮選手が真っ先に反応したのが現IWGP世界ヘビー級王者のSANADA選手でした。

「いやもうSANADA選手、今の新日本プロレスの顔、主役。自分がG1に出場する理由は『新日本プロレスで主役を獲ってNOAHに帰る』ですから。G1で優勝することと主役を獲ることが自分の名前を広め、NOAHを広めることになりますから。相手の大将とやれるんだ、って予選リーグのメンバーを見た時にそこにしか目がいかなかったです。SANADA選手を討ち取って、NOAHに戻るぞ、と」

➡次ページ(「令和闘魂三銃士」の話題も、開幕戦で全部持っていってやろう、と。)へ続く

「令和闘魂三銃士」の話題も、

開幕戦で全部持っていってやろう、と。

――大きな話題を呼んだ、あの「令和闘魂三銃士」も全員同じAブロックなんですよね。

「そうですね」

――清宮選手を含めて全員20代。「清宮海斗対令和闘魂三銃士」はどういう試合になるのか全然予想もつかなくて。それが「Aブロック、どうなるんだろう?」と注目を集める理由の1つだと思うのですが、清宮選手自身はどんな思いがありますか?

「個人に対しては『敵の一人』ですけど(令和闘魂三銃士が)話題になっていることはいいことだなと思いますね。でも、その話題を開幕戦(7・15札幌、対辻陽太)で全部持って行ってやろうと思ってるので」

――おお!

「プロレスファンのお客さんが思い描いてるものもいい意味で裏切っていきたいですし」

――今年2月の武藤敬司さん引退で「プロレスはもういいか」と興味を失った人を実際に知ってます。「令和闘魂三銃士」は昔からのファンにもう一度興味を持って貰うためのメッセージだと私は受け取りました。ただ、実際に武藤さんと戦い、最も「武藤敬司」を体感した20代のレスラーは清宮選手ですね。

「武藤さんから感じさせて貰った部分は、今度は自分がリング上でファンの方にお見せしていけたら、という思いはありますね。自分の中には『武藤さん、凄かったな』と感じた瞬間だったり『こういうのがあるんだ』という驚きだったり、武藤さんと戦うことでいろいろな経験をさせて貰って、そのすべてを吸収してきたと思っているので。そこも含めて、自分が(ファンに)見せれると思ってますね」

――「武藤敬司」を体感した者としての責任は感じますか。

「感じますね。特に武藤さんとのシングルを何度も経験出来たことは大きくて。ただ『責任感』ということでいえば、本当に今までいろんな先輩方と戦わせていただいて、多分、先輩方は『清宮、もっと来いよ!』と思ってるんだろうな、と感じることがあって」

――そこは実力の差、ということですか?

「そうですね。試合では自分も本当に生意気にいろいろ言ってるんですけど(笑)、そういうことも先輩方はすべて受け止めてくださいましたし。NOAHに入団した頃は小川(良成)さんにずっと指導していただいて、二十歳の時に杉浦(貴)さんに弟子入りして杉浦軍に入って、そこから海外に行って一人でやると決めてからは本当にいろんな方とシングルマッチを経験させて貰って。そのたびに『こういうプロレスがあるんだ』と感じて、そういう経験が出来たことはこれ以上ない価値を感じていますね」

――ところで、今回のG1ですがリーグ戦は20分一本勝負になりました。

「試合時間については特に考えていないです。戦い方は変えていかなくてはいけないですけど、逆にプロレスの技術の差が出てくると思うので。そこはやってやるぞ、と思ってますね」

――G1用の秘策は考えていますか?

「いろいろと考えてますね。試合時間のこともそうですし、他団体にこれだけ長い期間、参戦することも初めてですし」

――地方に行って、試合後にどこで食事をしたらいいんだろう、みたいな問題もありますよね。

「そうですね(笑)。孤独になると思うし、周りに助けてくれる人もいないですし」

――海外武者修行をしてた頃のような。

「その時になってみないと分からないですけど、海外に行った時は初日はちょっとびっくりしたんですよ。『本当に日本語を話す人はいないな』って。で、1日寝たら、もうその状況を楽しむ方向に行っていたので(笑)。今回のG1シリーズも上手く調整するのかな、って思ってます」

――順応力は高そうですよ。

「いやいや(笑)。でも生命力は自分でも強いつもりですよ」

――さすが歴戦の強者たちと戦ってきた方ですね。今回のG1、過酷なシングルマッチの連戦ですが、勝ち抜くためのカギは?

「NOAHでつちかってきた技術が一番活かせると思うので。長い試合も何度も経験しましたし、基本的なところでいえば『受け身』にはもの凄く自信を持っています。それが長い時間を戦い抜くために大事だと思いますし、そこはNOAHで学んだ技術を持って、自信を持って戦い抜いて、優勝します」

――おお!

「新日本プロレスのファンの人、全員に『NOAHを見に行きたい!』って思うような試合を見せて、G1を盛り上げて自分が優勝します」

➡次ページ(G1は全試合対抗戦。仲良くやるつもりはないですから。)へ続く

G1は全試合対抗戦。

仲良くやるつもりはないですから。

――清宮選手は今、キャリア8年目になるんですね。

「そうですね、気づけば(笑)。いろんなところで『若いね』と言っていただくんですけど、18歳でNOAHに入団してもう8年目です」

――武藤敬司さんを始め凄い顔ぶれと戦い、東京ドームなど大舞台や海外でも戦い「キャリアの厚み」はもの凄いですね。今回はG1初参戦ながら、少々のことでは緊張しないのかな、と。

「逆に、今の話でいうと落ち着かずに来れているのがいいのかな、と思います。『今日の試合はこういう感じでいいだろう』的な、変に落ち着いた感じじゃなくて、全ての試合に新鮮な気持ちで臨めているので『今日はもっとこうしてみたい』とか新たな発想が生まれてきて、それが今のスタイルになっていると思います」

――となると、G1でシングルマッチ初対戦のレスラーたちと戦うことで「新たな清宮海斗」が見られる可能性もありそうですね。

「いやー、自分の中で『NOAHを出て他団体で戦いたい』というのはまったくない考えだったんですよ。ただ、最近、他団体の試合があって感じることもあって、今回のようにNOAHを休んでまでも新日本プロレスのG1に出るということは自分にとっても楽しみではありますね。他団体に乗り込んでいくので、楽しんでる余裕はないかもしれないですけど、G1で新たな経験をしてNOAHに戻って来た時、お客さんに『新しい清宮海斗』を見せられるのかな、という思いはありますね」

――新日本プロレスのレスラーからすれば「食えばオイシイ獲物」ですから、当然狙われますね。

「全試合対抗戦ですね。自分は仲良くやるつもりはないですから。リーグ戦ではSANADA選手しか見てないですし、決勝トーナメントでオカダ・カズチカ選手に勝って優勝する。新日本プロレスの主役を獲って、NOAHに帰ってきます」

――最後に「G1に乗り込んできた清宮海斗」を見るファンに向けて何かメッセージはありますか?

「自分はNOAHを広めるためにG1に出るので、清宮海斗を見て『こんな選手がNOAHにいるんだ』『NOAHってこんなに面白いんだ』と思って貰えるように全試合戦います。清宮海斗の試合をぜひ楽しみにしてください」

――G1直前のお忙しいところをありがとうございました。

(了)

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