TAKISAWAにTOB モーター大手のニデック発表

ニデックがTOBの実施を発表したTAKISAWAの本社=岡山市北区撫川

 モーター大手のニデック(旧日本電産、京都市)は13日、工作機械メーカーのTAKISAWA(岡山市北区撫川)に株式公開買い付け(TOB)を行い、完全子会社化を目指すと発表した。期間は9月14日~11月13日の予定。TAKISAWAは「今後、ニデックから受け取った文書や関連情報を精査し、見解を公表する」とし、今回のTOBに対する具体的な意見の表明は行っていない。

 TOBの買い付け価格は、東証スタンダード市場での同社株価の12日終値(1株1447円)に約8割のプレミアムを上乗せした1株2600円。自己株式を除く発行済み全株式取得を目指す。買収総額は166億円となる。

 ニデックは2021年、歯車工作機械製造の三菱重工工作機械(現ニデックマシンツール、滋賀県)を買収し、工作機械事業に参入。国内とイタリアの工作機械メーカー計3社を傘下に持つ。事業基盤の強化などに向け、22年にTAKISAWAに資本業務提携を提案したが、断られたという。ニデックは「TAKISAWAが得意とする旋盤を手がけるメーカーは傘下になく、その技術や製品ラインアップは魅力。株主にメリットを理解してもらい、TOBに賛同してもらいたい」としている。

 TAKISAWAが6月に公表した有価証券報告書によると、3月31日時点の大株主には、産業用ロボット製造のファナック(山梨県)や中国銀行(岡山市北区丸の内)など10団体・個人が記載されており、自己株式を除く発行済み株式数の37.92%を占める。ニデックは含まれていない。TAKISAWAは、既存株主に対し新株予約権を無償で割り当てる「ポイズンピル」と呼ばれる買収防衛策を導入している。

 ニデックは1973年設立、資本金877億8400万円、連結売上高2兆2428億2400万円(23年3月期)、グループ従業員約10万6千人。東証プライム上場。精密小型モーターや電子部品などの製造を手がける。

 TAKISAWAは1944年設立、資本金23億1902万円、連結売上高279億9400万円(23年3月期)、グループ従業員約750人。自動車業界など向けのNC(数値制御)旋盤を主力としている。

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