静岡・川勝知事が給与やボーナスを返上していなかった問題をめぐり、12日、県議会に提出された知事への「不信任決議案」は、可決まで1票足らず否決されました。日をまたいで深夜まで開かれるなど、空転した県議会。異例の一日を振り返ります。
(川勝知事)
「あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない。だから飯だけ食ってそれで農業だと思っている」
2021年、参院補選の応援演説で、川勝知事が発したコシヒカリ発言をめぐり、問題となった給与やボーナスの未返上問題。
12日午前、県議会6月定例会の最終日で、川勝知事はあらためて「ボーナスや給与を返上する」と表明しました。
(川勝知事)
「県民の皆さまに十分に私の考えをお伝えしておらず、不信の念を抱かせてしまったことをおわび致します。県議会において、給与を返上するための条例案を審議いただける環境に変わった」
この発言が“長い1日”の始まりでした。
川勝知事の発言を受けて「不信任決議案」の提出を模索したのが、県議会の最大会派「自民改革会議」
「不信任決議案」は法的拘束力があり、可決すれば知事は10日以内に県議会を解散しなければ失職することになります。
自民改革会議は、12日午後から議員総会などを繰り返し開き、断続的に対応を協議。
知事への「不信任決議案」は提出されるのか…
会派内で調整が進むこと、約5時間。結論が出たのは午後6時を回ったころでした。
(自民改革会議 増田享大 代表)
「全員一致です」
Q:不信任決議案を出す?
「はい。そういうことです」
午後10時ごろ、自民改革会議は県議会の中沢公彦議長に、1973年以来50年ぶりとなる知事への「不信任決議案」を提出。
増田享大代表は、不信任決議案の提出に踏み切った理由について、知事の報告が「保身のための虚偽説明」があったからと説明しました。
(自民改革会議 増田享大 代表)
「自らの度重なる不適切発言に対し、知事自らが課したペナルティーに、さらなる不適切な発言を重ねるもの、今回の知事報告をもって、知事の発言に対する信頼性、信ぴょう性、真実性は 根本的に損なわれたと言わざるを得ません」
そして、日をまたいだ、13日午前1時前から始まった「不信任決議案」の採決。
自民の40人に加え、公明と無所属の県議あわせて10人も賛成にまわりましたが、川勝知事を支持する「ふじのくに県民クラブ」が反対したため、可決までわずか1票足らず否決されました。
( 県議会 中沢公彦議長)
「開票の結果を報告します。投票総数68票、賛成50、反対18、よって川勝平太知事に対する不信任決議案は否決されました」
「不信任決議案」を提出した自民改革会議は…
(自民改革会議 増田享大 代表)
「目的を達成できなかったことは非常に残念」「いろいろあったが、こういうかたちで不信任案を出し、他の会派の県議にも、複数名ご賛同いただけたことは本当にありがたい」
Q:今後も一貫して辞職を求める?
「その姿勢には1ミリも変わりはありません」
一方、川勝知事は…
(川勝知事)
「お疲れ様でした」
記者の問いかけに一切答えませんでした。
不信任決議案が可決まで1票足らず、否決されたことについて街の人は…
(40代女性)
「(不信任決議案を)今回は出されてもいいと思う」「もう少し差がついても良かったと思う、可決の方に」
( 70代 男性)
「県議会の主導権を握れていない、わずか1票差だった」「(川勝知事は)我を通しすぎる、皆さんの意見を聞いて判断してほしい」
一夜明け、川勝知事は報道陣の取材に応じ、知事を続ける意向を示しました。
(川勝知事)
「非常に重く真摯に受け止めている」「大変多くの方たちが不信任の決議に賛成されたということは、辞職勧告決議に勝るとも劣らない、大きな意見として受け止めている」「結果は票が足りなかったので、職務に専念する、この決意は変わりません」
一方で自民党会派からの「保身のための虚偽説明」という指摘については「保身の気持ちはなかった」と強く否定しました。