川勝知事に対する「不信任決議案」提出の舞台裏 自民党内に“温度差” 静岡県議会

知事のいわゆる「コシヒカリ発言」をめぐり、返上を表明していた給与とボーナスを返上していなかった問題は、50年ぶりに不信任決議案が提出される事態となりました。

不信任決議案は自民の40人、公明の5人、無所属の5人のあわせて50人が賛成。川勝知事を支えるふじのくに県民クラブの18人が反対し、わずか1票差で否決されました。可決には出席議員の4分の3が賛成する必要があり、川勝知事を支えるふじのくに県民クラブから1人が賛成にまわることが条件でしたが、可決ラインの51票には届きませんでした。

一方、不信任決議案の採決が日をまたいで深夜にずれ込んだ理由の一つに、自民党会派内の“温度差”があります。ある自民党県議によりますと、不信任決議案の提出を主導したのは、会派の中でも当選回数が多い“重鎮”の県議でした。2023年4月に県議選が終わったばかりにもかかわらず不信任決議案が可決されれば、再び選挙となる可能性があるため、提出に慎重な県議からは「今回は見逃してもいいのでは」という声もあがったといいます。しかし、県議会で知事が「給与を返上するための条例案の提案に向け努力や調整をした」という発言などに対し、自民党の会派内では「保身のための虚偽説明だ」と不満が爆発。一気に不信任決議案の提出に向けて、会派内がまとまったかたちになりました。また、2021年に可決された辞職勧告決議では反対した無所属の県議も、今回、賛成にまわりました。残り2年ほどとなる川勝知事の任期は折り返したばかりですが、無所属の県議が知事への対決姿勢を強めれば、今後の議会運営はさらに厳しくなるとみられます。

元県職員で県内の政治・行政に詳しい静岡産業大学の小泉祐一郎 教授は「今回の不信任決議案の提出は、県の行政や政策が批判されたわけではないが、川勝知事の発信力を弱める結果につながるのでは」と話しています。さらに、2年後の知事選にも影響が出る可能性があると指摘しています。50年ぶりに提出され、わずか1票差で否決された不信任決議案。今後、川勝県政にどのような影響を与えるのか注目されます。

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