「肺がんの疑い」家族への伝達は半年以上も後 男性はその後肺がんに 病院側「ミス」を謝罪

健診受診者へのCT画像診断結果の報告が遅れたことについて説明する京丹後市立弥栄病院の神谷院長(中央)=市役所

 京都府京丹後市は13日、市立弥栄病院(同市弥栄町)で市内在住の70代男性が昨年10月に受けたCT(コンピューター断層撮影)検査で、「肺がんの疑いがある」と診断報告書に記載されていたにもかかわらず健診担当医が確認せず、家族に伝えるのが半年以上遅れたと発表した。

 市と病院は医療ミスと認め、謝罪した。男性はその後、肺がんと診断され、自宅で療養しながら市外の病院で治療している。

 病院によると、男性は65歳以上が対象の長寿健診を受診し、2日後に放射線科の医師が肺がんの疑いについて報告書に記した。健診担当医は4月末に記載内容を確認したものの、検査結果を家族に伝えたのは男性が呼吸困難で救急搬送された5月上旬だった。その際、報告が遅れたことも謝罪したという。呼吸困難について「肺がんとの因果関係は不明」としている。

 病院の聞き取りによると、健診担当医は「重大疾患の疑いがあれば、直ちに口頭で報告があると思い込んでいた」と話し、報告書をすぐには確認していなかった。長寿健診は検査項目が多岐にわたるため、報告書は担当医が3カ月分ごとにまとめて半年以内に整理、確認する院内ルールがあり、この点もミスの要因になったと見ている。

 会見では、長寿健診でがんの疑いの診断結果が5カ月間以上経過して受診者に伝えられた事例が、2021年5月に1件あったこともわかった。

 神谷匡昭院長は「この時は受診者ががんではなかったことから情報が共有されず、ミスを防ぐ教訓として生かせなかった」と謝罪。担当医のチェック漏れ、報告漏れがないかを看護師も確認するなどの再発防止策を示した。

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