無報告大間マグロ 卸売2社長に有罪判決 青森地裁「漁獲管理に影響」

 大間産クロマグロ漁獲量の一部を報告していなかったとして、漁業法違反(報告義務違反)の罪に問われた、青森県大間町の水産物卸売会社「魚忠」社長新田忠明被告(47)と、同「最北水産」社長佐々木一美被告(62)に青森地裁は13日、それぞれ懲役4月、執行猶予3年(求刑懲役4月)の判決を言い渡した。藏本匡成裁判長は、クロマグロは絶滅が危惧され、世界的に漁獲管理が行われていることに触れ「犯行が及ぼした影響を軽視できない」と非難した。

 量刑理由で、藏本裁判長は、新田被告と共犯関係の漁業者13人は約2カ月間で計42トン超、佐々木被告と共犯関係の漁業者9人は約2カ月間で計31トン超の無報告マグロを水揚げしていたと認定。一連の犯行には、漁業者の意図を理解した両被告の協力が不可欠-とした上で、「被告が果たした役割は大きい」と指摘した。

 動機について、両被告は経済的に苦しい漁業者を助けたかった-などと釈明していたが「実際には、犯行によって多額の利益を得ており、特段酌量すべき点は見いだしがたい」と言及した。

 一方▽両被告が犯行を認め反省の態度を示している▽目立った前科がない▽両被告の妻がそれぞれ今後の監督を誓っている-ことなどから、酌むべき事情も認められるとした。

 判決によると、新田被告は漁業者13人と、佐々木被告は同9人と共謀し、2021年7~9月、報告が義務付けられている、水揚げされた特定水産資源のクロマグロ計74トン超を県に報告しなかった。

 閉廷後、報道陣の取材に対し、両被告の弁護人は「判決の内容は妥当と受け止めている。控訴については、2人と話し合ってから決めたい」と語った。

 事件を巡っては、両被告と共謀した大間、奥戸(大間町)、大畑(むつ市)の3漁協の漁業者22人と漁業関係法人1社が、漁業法違反の罪で、罰金20万~10万円の略式命令を受けている。

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