朝乃山序盤戦2敗 北青鵬に雪辱果たせず

 大相撲名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)5日目の13日、東前頭4枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は東前頭6枚目の北青鵬(宮城野部屋)に寄り切られ、2敗目を喫した。優勝争いを期待される今場所の序盤戦で、痛い二つ目の黒星。先場所敗れた身長2メートルを超す巨漢に雪辱を果たせず、「相手が大きいのでしんどい。悔しさはいろいろある」と唇をかんだ。

 朝乃山は、得意の右四つでがっぷりの体勢となったが、相手の右下手投げで土俵際に追いやられた。懸命にこらえたものの、両まわしを許しての寄りに土俵を割った。「見ながら当たってしまった。もっと思い切っていけば良かった」と反省しきりだった。

 6日目は西前頭6枚目の王鵬(大嶽部屋)と対戦する。

  ●「勝って富山に元気を」 大雨を心配、三役戦へ発奮

 朝乃山は課題の残る黒星だった。先場所に続き、北青鵬に敗れて悔いを残したが、気持ちを切り替え、三役陣との対戦が控える中盤戦以降へ前を向いた。

 大きな活力になるのは故郷への思いだ。この日は朝稽古から富山県内に降った大雨を心配していた。12日に母から連絡が来たときは大丈夫だと聞いた。「僕が勝って、富山の人にも元気や勇気を与えないと。落ち込んでいる場合じゃない」と自らを奮い立たせた。

 会場では「朝乃山」という掛け声があちこちから聞こえ、最後は土俵際で粘るも力尽きた。

 189センチの自身より、さらに15センチも上背がある大器とのまわしの引きつけ合いでは分が悪かった。夏場所は立ち合いで変化した相手の奇襲が頭をよぎり、踏み込みが弱くなった。「相手はスケールが大きいので、1回やられるともう1回やられるんじゃないかというのがあった」と反省した。

 支度部屋に戻り、記者の質問に答える間、時折冗談を言って笑わせる場面もあったが、大きなため息をつき、納得のいかない取組を悔やむ様子を隠さなかった。「明日からまた切り替えていく。体を生かして前に出る相撲に持って行きたい」と先を見据えた。

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