7月16日に御所でススキ提灯献灯行事 地域住民と関西学院大生ら協力 4年ぶりに従来の規模で開催

若衆会から提灯の組み立て方を教わる関西学院大生ら=2日、御所市宮前町の鴨都波神社(同神社提供)

 奈良県御所市宮前町の鴨都波神社(松本邦夫宮司)に伝わる県指定無形民俗文化財「ススキ提灯(ちょうちん)献灯行事」が16日、コロナ禍の中止・縮小を経て4年ぶりに元の規模に復活する。当日は祭りの担い手不足を解消しようと、関西学院大学(兵庫県西宮市)で地方創生を学ぶ学生ら19人が参加を予定。地域住民と共に祭りを盛り上げる。

 ススキ提灯とは、4.5メートルの竹製の支柱に横木4本を通し、提灯を上から2.4・4、3段計10張を組み立てたもの。同社行事では「稲穂の実る姿」を表し、提灯一つ一つが米粒を意味する。

 江戸時代中期から続く伝統祭事で、夏と秋の年2回開催。氏子地域で伝承されたススキ提灯にご神火を献灯し、同市の葛城公園を出発して町内を巡行する。神社に奉納し、五穀豊穣、無病息災、家内安全を祈願する。

 新型コロナウイルス感染拡大で、2020〜22年は巡行や花火は中止、規模縮小し、神事は継続してきた。今年は規模を復活し、打ち上げ花火を背景にススキ提灯23本が行列する光景や、境内で若衆会が太鼓に合わせて提灯を投げたり大きく回したりする演技が見どころ。参道は40店以上の夜店で賑わう。

 祭りには、関西学院大経済学部、栗田匡相ゼミの「御所班」として研究・活動する3、4年生と留学生2人も参加する。同大は御所市と18年、まちづくりに関わる連携協定を締結。市が抱える過疎化や少子高齢化などの課題解決に向けて調査する中で、ススキ提灯献灯行事の継承が困難な地域がある現状を知り、「よそ者の自分たちが参加することで、本来の担い手への刺激となれば」と神社に申し出た。19年に初参加し、今年2回目となる。

 学生らは7月2日、若衆会のメンバーから提灯の組み立て方や持ち方を教わった。祭り当日は、参拝する氏子22地区のうち、学生の手伝いを希望した5地区に参加。朝から各地域でススキ提灯を組み立てた後、夕方から地域のはっぴを着て住民と共に町内を巡行する。

 当日は午後7時頃に葛城公園から巡行スタート。午後7時20分ごろから、同市蛇穴(さらぎ)地区で花火を打ち上げる。荒天中止。

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