学校避難所、備え進む 備蓄倉庫や電源 茨城県内8割

災害時の避難所に指定されている茨城県内公立学校で、備蓄倉庫や非常電源などを備える学校が8割に上ることが文部科学省の調査で13日、分かった。飲料水や通信設備は9割超の学校が確保しており、いずれも3年前の調査から増加した。自然災害が激甚・頻発化する中、学校施設の防災機能強化が着実に進んでいる状況が明らかになった。

県内公立の小中学校、高校、特別支援学校の全806校のうち、9割に当たる742校が災害時の避難所に指定されている。調査はこうした学校避難所を対象に、昨年12月に行った。

調査は、備蓄倉庫▽非常用発電機▽飲料水の確保▽冷房機器▽暖房機器▽ガス設備▽通信設備▽断水時のトイレ対策-の8項目。茨城県は冷房機器を除く7項目で全国平均を上回った。

このうち、非常用物資の備蓄倉庫を設けた学校は、前回2019年度調査から8.3ポイント増え84.2%だった。高校(63校)と特別支援学校(20校)は、ともに全ての学校で備蓄倉庫を設置していた。

校内に耐震性貯水槽やプールの浄水装置、井戸設置のほか、近隣施設と連携しペットボトル飲料水などを確保しているのは10.8ポイント増の90.3%。防災行政無線や災害時優先電話、衛星電話などの通信設備を配置するのは2.8ポイント増の91.4%だった。

停電や断水への備えも進んだ。自家発電設備や太陽光発電による再生可能エネルギー設備、蓄電池など非常用発電機を備えた学校は15.7ポイント増え79.4%。マンホールトイレや携帯トイレなど断水時に使用可能なトイレの備えは27.3%ポイント上昇し82.9%と大きく向上した。

同省は災害対応型トイレや自家発電設備の導入費用を補助するなど、自治体に整備を促している。

避難所の設置運営は原則として市町村が担う。一方で、県教委は東日本大震災を機に「学校防災に関する手引き」を策定し、市町村の対応が困難な場合に避難所運営への協力などを盛り込んだ。県教委は「災害時の拠点として、市町村と連携し、備えの充実に協力したい」とする。

都道府県別で見ると、防災機能の整備が全項目で100%達成したのは鳥取県だけだった。

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