お酒の熟成具合は?新たに「お茶」も熟成開始【旧生駒トンネル・生駒隧道プロジェクト】

お酒の熟成具合は?新たに「お茶」も熟成開始【旧生駒トンネル・生駒隧道プロジェクト】

奈良県生駒市と大阪府東大阪市を結ぶ「旧生駒トンネル」で行われている「生駒隧道(いこまずいどう)プロジェクト」。

お酒を熟成していた奈良県生駒市の『中本酒造店』、大阪府柏原市にある『カタシモワインフード』の2社が熟成されたお酒の様子を見に行くということに。

また新たに大阪府松原市にある『株式会社宇治森徳』が参加するということで、同行させていただいた。

日本酒は順調

熟成開始から約1か月半。

トンネル内の環境(年間平均気温約16.7℃ / 湿度約98%)により、熟成のスピードが早まるそう。

左)純米大吟醸「黒」 右)純米酒「神亀之黄金酒 長屋王」

まずは『山鶴』で有名な『中本酒造店』の日本酒から。
純米大吟醸「黒」と純米酒「神亀之黄金酒 長屋王」を熟成させていて、トンネル内で実際に味見を行ったのだが、関係者のみなさん納得の表情。

「ここまでは順調です。トンネル内は湿度が高いので、ふたの裏や瓶の口の部分にカビが生えないか心配していましたが、それもなしです。」
と満足げに語ってくれた。

熟成に約3年かかる純米酒粕焼酎「旅人」もトンネル内で熟成させているのだが、こちらもどうなるか楽しみ。

ワインを逆さまで持って帰る理由とは?

次に河内醸造ワインなどで有名な『カタシモワインフード』。

こちらは試飲をその場で行うことなく持ち帰り。理由をレオさんに聞くと
「テストではかなり熟成が進んだので、このビンテージだとこのくらいがちょうどいいだろうと思い、本日引き上げることになりました。また、ワインには澱(おり)が積もってくるんですよね。これを持って帰って取り除く作業を行います。」

少したまった澱(おり)。瓶の周りにも澱が付いておりこれ以上に溜まってくるそう。

澱(おり)は開栓した時にワインが噴出する原因になるので、製造工程の最後で取り除くのだそう。

「瓶を逆さの状態で熟成させていたのですが、逆さのまま持ち帰らないといけないんです。ビン口にたまった澱(おり)が底に行ってしまうと、またやり直しになるので忘れないようにしないと。」
と普段の作業とは違う持ち帰り方を教えてくれた。

持ち帰られたワインは、この後もう少し時間をかけて製造され、11月頃に完成する見込み。

新たに熟成させるのは「お茶」

今まで「生駒隧道(いこまずいどう)プロジェクト」に参加していた2社はお酒だったが、今回新たに「お茶」の熟成が開始された。

お茶の熟成を開始したのは「かおりちゃん」で有名な『株式会社宇治森徳』。

業務用などで販売する際に茶葉を詰める袋に、今回実験をする茶葉を密閉した状態で、熟成させるそう。

期間はまずは3か月。

商品企画室の天野さんにお話を伺うと
「春に摘まれた新茶を低温保管して、秋まで熟成させる蔵出しのお茶があるのですが、すごくまろやかなんですよね。お茶も熟成で味が変わるので、トンネル内で熟成させるとどんな変化が現れるのかは、全くの未知です。
茶葉の天敵は『光』と『湿気』ですが、トンネル内は湿気があるのでどうなるか、少し不安もありますが、楽しみですね。」
と語ってくれた。

茶葉と同時に、臼で引くことによって抹茶になる「碾茶(てんちゃ)」も同時に熟成を開始。
果たしてどのようなお茶になるのか楽しみ。

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