『コクリコ坂から』宮崎吾朗監督の「親父の書いたシナリオに負けたくなかった」という思い

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宮﨑駿監督作品『君たちはどう生きるか』の劇場公開を記念して、この夏は、3週連続でスタジオジブリ作品を放送する。その第2夜として、公開初日を迎えた7月14日は宮崎吾朗監督作品『コクリコ坂から』が本編ノーカットで登場。

舞台になった時代のヒット曲『上を向いて歩こう』が挿入歌として使われている本作は、高度経済成長が進み始める中、まだ貧しさもあるけれども、皆が上を向いていた時代を描く、少女漫画が原作の青春物語だ。

本作で企画と脚本を担当したのは宮﨑駿。できた脚本を宮崎吾朗監督が絵コンテに仕上げていく、という形で制作は進められたという。宮崎吾朗監督は、この作品で「今までの人生で初めて必死になった」と公開当時に語っている。

また、その前年の夏、いろいろな事情で追い詰められたといい、「2作目のプレッシャー、企画の挫折、親父が書いたシナリオ、厳しいスケジュール、『借りぐらしのアリエッティ』の成功、等々。しかし、あれこれ考えている時間はなかった。とにかくガムシャラにやるしかなかった」「親父の書いたシナリオに負けたくなかった。シナリオは良かったのに、映画は駄目だったとだけは言われたくなかった」と思っていたとのこと。

今までにないぐらいガタガタになる中、絵コンテが完成しても不安に苛まれていたが、制作が追い込みに入り、アフレコに立ち会っていた時、ふいに「『コクリコ坂から』は僕の予想した以上のものになっていた。どうしてこんなものができたんだろう?」と妙な感慨を覚えたのだという。そして、シナリオやスタッフ、役者との幸運な出会いに助けられ、本当のところは運が良かっただけかもしれないが、「それでも良いのだ。ここまで来られたのだから」と思うことにしたのだとか。
この作品では、豪華声優陣も見どころの1つ。長澤まさみや岡田准一らの熱演にも注目だ。

【ストーリー】
舞台は東京オリンピック開催を目前に控えた1963年の横浜。丘の上に建つ下宿屋“コクリコ荘”では、早くに父を亡くした高校生の海が、留学中の母・良子に代わって切り盛りしていた。ある日海は学校で、取り壊しが決定した古い由緒ある建物“カルチェラタン”を守るため、存続活動に没頭する新聞部部長の風間俊と出会う。俊に憧れる妹の空と共にカルチェラタンを訪れた海は、俊の親友で生徒会長の水沼の提案で新聞作りの手伝いをすることになる。海と俊、お互いが意識し合う仲になっていくが…。

『コクリコ坂から』(2011)
企画・脚本:宮﨑駿
監督:宮崎吾朗
原作:高橋千鶴、佐山哲郎(角川書店刊)
声の出演:長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、柊瑠美、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之ほか

写真提供:(C)日テレ

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