動植物園の日常をのぞき見!のんほいの窓【2023年7月号】海の生き物を知る!豊橋市自然史博物館で「カイジュウ博2023-海で暮らす仲間たち-」を開催

田原市の表浜海岸に漂着したカマイルカの頭骨。上下合わせて120本の歯が生えている

愛知県豊橋市にある「豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)」。パーク内で暮らす動物たちやのびのびと育つ植物たちの日常や季節のイベントなどを「のんほいの窓」から定期発信します! 今回は、豊橋市自然史博物館で開催される特別企画展「カイジュウ博2023-海で暮らす仲間たち-」の見どころをご紹介。海で暮らす生き物たちの生態やのんほいパークのある東三河地域とのかかわりなど、知られざる「カイジュウ(海獣)」の魅力に迫ります!

田原市の表浜海岸に漂着したカマイルカの頭骨。上下合わせて120本の歯が生えている

海で生きる「海獣」とは?

「海獣」とは、海を生活の場としている哺乳類のこと。三河湾に生息しているスナメリのほか、クジラ類やアザラシ・アシカなどの鰭脚(ききゃく)類、ジュゴン・マナティーを含む海牛(かいぎゅう)類が海獣に分類されます。

また、一生を海で過ごすラッコや氷上で生活するホッキョクグマも海獣類です。海洋生態系のなかで頂上を占めている動物が、海獣類とされています。

「カイジュウ博2023-海で暮らす仲間たち-」の見どころをチェック!

展示されているラッコの剥製。体毛の密度は動物界でトップクラスといわれている

ここからは、特別企画展「カイジュウ博2023-海で暮らす仲間たち-」 の見どころをご紹介!あまり知られていない海獣類の生態について、この機会に学んでみてはいかがでしょうか。

海獣の生態を紐解く!約200点以上の標本を展示

今回の展示では、海獣たちの生態や生活様式がわかる標本が公開されます。絶滅危惧種であるセミクジラの全長2m以上の頭骨は迫力満点!そのほかにも、アシカやラッコの剥製など、約200点以上の標本を見ることができます。

これらの標本から、海で暮らす海獣類と陸上で暮らす哺乳類との、体の形や生活様式の違いが見えてくるかもしれませんよ。

東三河地域と海獣には接点がある?約30年にわたる調査内容を初公開

実は、海獣たちとのんほいパークのある東三河地域は接点が多いことをご存じでしょうか。

三河湾にはクジラ類のスナメリが生息しており、毎年海岸への漂着が確認されています。さらに、渥美半島の表浜海岸には、マッコウクジラやスジイルカなどのクジラ類が度々漂着しているのです。

豊橋市自然史博物館では、開館以来約30年にわたって渥美半島沿岸に漂着したクジラ類を収集し、その生態が調査されてきました。今回の展示では、その成果が初公開されます。

海獣と日本人は縄文時代から関わりがあった!?

海に囲まれた日本では、縄文時代から生活のなかで海獣であるクジラ類と関わりがありました。食用とするほか、骨や皮、ひげ板などの可食部以外の部分を加工し、暮らしに役立てていたとされています。

このように、日本人とクジラ類には深い関わりがあったことを、展示を通して学ぶことができます。

「カイジュウ博2023-海で暮らす仲間たち-」を見学して、海の環境問題を考えるきっかけに

私たち日本人や、のんほいパークのある東三河地域とも深い関わりがある海獣たち。その存在が、脅かされているのも事実です。

その原因のひとつが、海洋プラスチックごみによる環境汚染。海獣たちが餌と間違えて食べてしまったり、体に絡まって溺れてしまったりと、近年は生存にも大きな影響を与えています。

今回の展示は、この現状を知り、私たちが何をすべきかを考える機会にもなるはずです。今年の夏はぜひ、のんほいパークにある豊橋市自然史博物館で海獣について学んでみてはいかがでしょうか。

「カイジュウ博2023-海で暮らす仲間たち- 」開催概要

日程:2023年7月14日(金)~9月3日(日)
場所:豊橋市自然史博物館 特別企画展示室
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は翌平日)
詳細はHP(https://www.toyohaku.gr.jp/sizensi/03event/2023/tokuten/index.html)をご確認ください。

豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)公式HPはこちら>>>

https://www.nonhoi.jp/

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