芭蕉になりきり魅力紹介 山寺訪問の日に合わせ、記念館

松尾芭蕉になりきって来館者を案内したボランティアガイド=山形市・山寺芭蕉記念館

 江戸時代に俳人松尾芭蕉が山寺(山形市)を訪れたとされる7月13日に合わせ、同市の山寺芭蕉記念館のボランティアガイドが同日、芭蕉に扮(ふん)して来館者を案内した。台湾からの観光客にも“俳聖”は「おくのほそ道」や俳句の世界、山寺の魅力を紹介し、国際交流に一役買った。17日にも行う。

 芭蕉は1689(元禄2)年、江戸から平泉などを巡り、山寺の立石寺を訪れ、「閑(しずか)さや岩にしみ入る蝉(せみ)の声」を詠んだとされる。随行した門人曽良の「曽良随行日記」によると、山寺を訪れたのは陰暦5月27日(陽暦7月13日)。同館はこの日に合わせて「奥の細道☆芭蕉ウィーク」(10~17日)と題したイベントを初企画した。ボランティアガイドの扮装案内は、この一環で行った。

 芭蕉役を務めたのは芦野真一郎さん(75)=山形市片谷地。体は法衣、頭に宗匠帽、首に笠、手にはつえを持ち芭蕉になりきった。台湾の観光客約30人に「松尾芭蕉です。334年前から来ました。東京から歩いてきました」と、通訳を介して自己紹介した。

 芭蕉の道のりなどを記したパネル、俳句にもある本県の花・紅花の歴史などについて説明した。観光客は和やかな表情で聞き、時折うなずきながら、日本文化の理解に努めていた。

 一行のコウ・イベイさん(36)は「芭蕉さんの案内が面白かった」とし「景色もきれい。また来たい」と喜んだ。芦野さんは「17日は、芭蕉が山寺に戻ってきたという設定で楽しんでもらいたい」と話している。

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