「時代ごとの思い、感じて」 遠藤彰子展、山形美術館で14日開幕

作品への思いを語る遠藤彰子さん(中央)と菅野滋館長(右)=山形市・山形メディアタワー

 山形新聞、山形放送の8大事業として山形市の山形美術館で14日に開幕する「遠藤彰子展 巨大画で挑む生命の叙事詩」を前に、洋画家の遠藤彰子さん(75)=相模原市=が13日、山形市の山形メディアタワーを訪れた。遠藤さんは「時代の流れの中でいろいろなことを考え、絵とともに生きてきた。描き始めた20歳から現在に至るまでの変遷を楽しんでほしい」と見どころを紹介した。

 同美術館の菅野滋館長とともに訪問した遠藤さんは、山形新聞社の寒河江浩二会長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)と佐藤秀之社長、山形放送の板垣正義社長と懇談した。

 遠藤さんは毎年大作に取り組み、本展では縦3メートル、横7メートルを超える1500号の作品も展示する。「具象絵画の可能性を探り大作に挑んでいる。5種類の脚立を使い分けて描き、時代時代の不安や感覚を表現してきた」と説明し、「山形美術館は天井が高く広いので、他の美術館よりも絵がよく見えていい」と喜んだ。

 本展に合わせ制作した最新作で、長井市の「卯の花姫」伝説を題材にした「揺れる風(卯の花姫)」にも触れ、遠藤さんは「伝説や武者を描くのは初めてで新鮮だった。竜の顔が難しかったが、画面に動きを出せた」と話した。寒河江会長は「黒獅子の基になったと言われている話。三淵渓谷のイメージが出ており、迫力がある」と述べた。

 本展は山形新聞、山形放送、山形美術館が主催し、県と県生涯学習文化財団が共催。油彩画や彫刻など約80点を展示する。初期から近作までそろい、2014年に女性画家として初の紫綬褒章を受けた遠藤さんの創作の軌跡をたどることができる。8月27日まで。

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