「一刻も早くまとまった雨を」梅雨明け前から降らない南北大東島、サトウキビに深刻な影響「ロール現象」

 【南北大東】記録的な少雨が続く南北大東島で、梅雨明け前から雨がまったく降っていない。南大東島地方気象台によると、7月12日現在、南大東島では6月21日から、北大東では同18日から降水量が0.0ミリ。水不足によりサトウキビにも深刻な影響が出ている。葉が水分の蒸発を防ぐために内側に巻かれる「ロール現象」が見られ、サトウキビ農家は「来期の生産量は減るだろう」と話す。

 南大東村さとうきび生産組合長の儀間勉さん(66)によると、全体の4割ほどの畑でロール現象が見られる。ロール現象のない畑でも生育が遅れており、例年この時期には2メートルほどある丈が50センチほど低い。「農家の高齢化で散水できていない畑もある。これから雨が降っても例年のような成長は期待できない」と話し、来期の生産量が2割ほど減る見通しを示した。

 南大東村は防災無線で散水などの対策を取るよう呼び掛けている。しかし貯水池やカルスト湖沼群の水位が下がり、塩分濃度が高くなっている。サトウキビ栽培をする大城盛明さん(64)も「梅雨時期も雨が少なかった。一刻も早くまとまった雨が降ってほしい」と表情を曇らせた。

 南大東島地方気象台によると、南北大東島では梅雨の期間中(5月18日~6月24日)も例年に比べ雨が少なかった。南大東が149.5ミリで平年値(327.6ミリ)の46%、北大東が147.5ミリで平年値(327.7ミリ)の45%だった。

 1月1日~7月12日の降水量は南大東が293.5ミリで平年値(814.9ミリ)の36%、北大東が328.5ミリで平年値(766.2ミリ)の43%にとどまる。同気象台は今後1週間の予報を「大気の状況が不安定なためにわか雨はあるものの、晴れ間が多い日が続くだろう」と話した。

 (池田羊子通信員、岩崎みどり)

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