鈴鹿8耐:OGURA CLUTCH ORC with RIDE INの若手育成ライダー横山尚太の二度目の挑戦

 いよいよ、8月6日に決勝日を迎える2023年鈴鹿8耐の開催が迫ってきた。今年も数多くのチームが参戦するなか、二度目の8耐となるOGURA CLUTCH ORC with RIDE INは完走を目標に掲げ、邁進している注目のチームだ。チームの明暗を握るのは、全日本ロードレース選手権ST1000クラスにフル参戦している若手ライダー横山尚太の飛躍だろう。

 現在22歳の横山は2019年に全日本ロードデビューを果たし、以来4年間はST600クラスを戦った。さらに2022年は自身初の1000ccで鈴鹿8耐に、岩﨑哲朗氏と坂本崇氏のふたりを中心に立ち上げられたOGURA CLUTCH ORC with RIDE INより参戦した。そして2023年から若手育成ライダーとして同チームに新加入し、ST1000クラスにフル参戦しているとともに、鈴鹿8耐にも挑戦する。

 そんな若手育成にも力を入れ、鈴鹿8耐での完走を目標に掲げるOGURA CLUTCH ORC with RIDE INから2度目の鈴鹿8耐に挑む横山。8耐トライアウトのファーストステージとして4月に開催された鈴鹿2&4レースでは、監督兼ライダーを務める武田雄一と2台体制で挑み、出場権を獲得した。

横山尚太(OGURA CLUTCH ORC with RIDE IN 2)/2023全日本ロード第2戦鈴鹿2&4 JSB1000

 今年の8耐トライアウトは、JSB1000クラスのフル参戦と合わせて69台中、決勝に進出できるのは44台という過酷なレースとなった。そのなかで、横山は2分11秒745をマークしてギリギリで44番手で予選通過を果たした。

 横山は「予選はマシンのセットアップが少し上手くいかず、自分の思っていた走りができなくて、全然ダメでした」と振り返った。続く決勝2レースにおいても完走は果たしたが、最後尾で単独走行となってしまった。加えて、腕上がりの症状と事前に行われた走行で転倒を喫した際に負傷した腰の痛みとも闘い、本領発揮とはならなかった。

「自分より速くてJSBに慣れている選手たちの走りを間近で見ることができ、走らせ方や体の使い方とか『あ、ここはこうやるんだ』という発見がありました。600ccの乗り方のままではダメだなと思ったので、今後に活かしたいと思います」

横山尚太(OGURA CLUTCH ORC with RIDE IN 2)/2023全日本ロード第2戦鈴鹿2&4 JSB1000

 OGURA CLUTCH ORC with RIDE INは武田と横山、そして新たに豊島怜を加えた3名で鈴鹿8耐に参戦することが発表されている。横山は6月と7月に行われたテストにも参加し、本戦に向けて体制を整えている。そのなかで横山にとって新たに加わった豊島の存在は、刺激的なものになっているという。

「怜くんと自分の良いところや悪いところを見比べています。マシンのセットアップも方向性がわかってきて、少しずつタイムも上がってきています。あまり大きな違いはないですが、細かいところが違うので、いい部分もしっかり自分のものに出来るようにしています」

 さらに、横山自身に鈴鹿サーキットの苦手意識があったというが、テストで走行を重ねる毎に克服できており、詰めどころもわかってきたという。現時点では改善点、タイヤの適応など課題はあるというが、順調にタイムアップを図れており、「自分の中でアジャストできる面が増えてきた」と語った。

2023鈴鹿8耐合同テスト:横山尚太と豊島怜(OGURA CLUTCH ORC with RIDE IN)

「去年は完走扱いにならなかったので、しっかり走り切って確実に完走することと、自分の中では20位以内を目指したいです。今年は2回目の出場になりますが、自分の強みをもっと出せるように、本番までに仕上げていきたいと思います。本番も自分より速いライダーが多いなかで、しっかり学びたいです」

 8耐トライアウトで経験した悔しさをバネに、成長を遂げていく横山はチームメイトの豊島と切磋琢磨しながら鈴鹿8耐に挑む。

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