50年ぶりの“不信任案”提出…静岡・川勝県政に影響は? 専門家は「知事の姿勢・手法に問題」と指摘

静岡県議会の自民党会派が提出し、可決まで1票届かず否決された、知事の「不信任決議案」。50年ぶりに提出された“不信任案”は、任期を折り返したばかりの川勝県政にも大きな影響を与えそうです。

自民党会派が「不信任決議案」を提出した県議会。可決されれば、知事は10日以内に県議会を解散しなければ失職することになりましたが、わずか1票届かず否決されました。この結果を受け、川勝知事は、今後も知事を続ける意思を示しました。

(川勝知事)

「結果は票が足りなかったので、私は職務に専念する。この決意は変わりません」

「発信力」を武器に、リニア問題や浜松市の新野球場問題などに取り組んできた川勝知事。50年ぶりとなった“不信任案”の提出は、川勝県政にどのような影響を与えるのでしょうか。元県職員で県内の政治・行政に詳しい静岡産業大学の小泉祐一郎教授は、川勝知事の「政治姿勢に影響が出るのでは」と話します。

(静岡産業大学 小泉祐一郎教授)

「今回の不信任決議案は、県の政策が問題になったのではなく、川勝知事の政治姿勢・手法に対する不信任決議、川勝知事の政治家としての行動に、慎重さを求められてきている、川勝知事も気をつけるのでは」

“不信任案”の提出は、知事が返上を表明していた給与やボーナスを、実際には返上していなかったことが発端でした。知事は必要な条例案を9月の県議会で提出する考えですが、“不信任案“を提出した自民は、あくまで「知事に辞職を求める」考えで、給与などの返上を認めるかどうかは今後協議する方針です。

(自民改革会議 増田享大 代表)

「条例案が正式に提出されたわけではない」「会派内でそれをいったん見て、対処法は再度検討する」

今回、自民党が反発したのは、知事が給与を返上しなかった理由を「議会の理解が得られなかったため」と話したことについて。小泉教授は、今後、知事が議会の理解を得られるかどうかがカギになると話します。

(静岡産業大学 小泉祐一郎教授)

「一番重要なのは、議会に上程するときの(返上の)趣旨・理由」「今回は知事の説明に問題があったと議会から見られた」「9月県議会でも知事の提案理由説明で議会の理解を得られるかがポイント」

県議会に「火種」を残す中、2年後に迎える知事選。自民は、知事との対決姿勢を強めていますが、これまでに具体的な候補者擁立の見通しは立っていません。次の知事選について小泉教授は…

(静岡産業大学 小泉祐一郎教授)

「この段階からスタートを切らないと間に合わない」「本気でやるのであれば、本格的に対抗馬を用意することが必要」「次の知事選では多選批判も強まるし、新しい人材という要素は風が吹く可能性はある」

自らの給与問題をめぐり自民との溝が深まる中、知事は今後、難しいかじ取りを迫られそうです。

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