虐待の社会福祉法人、不正支出も 府中市が特別監査で改善勧告

東京都府中市から改善勧告を受けた社会福祉法人「清陽会」の施設=5月

 知的障害者への虐待が約10年間、続いていた東京都府中市の社会福祉法人「清陽会」を巡り、市は14日、社会福祉法に基づく特別監査で不正・不適切な支出が多数見つかったとして、改善を勧告した。原因分析や資産の回復、再発防止策について報告するよう求めている。

 千田恵司理事長は「既に改善に取り組んでおり、市の指導に沿って対応したい」としている。

 市によると、虐待が指摘されている市職員OBの男性元副理事長が自分の車の修理代を法人に肩代わりさせるなどしていたほか、使途不明金が複数あった。法人関係者の親族である看護師の名義を借りて勤務していたように装ったり、架空契約で金銭を支出したりした疑いも判明した。

 同法人の第三者委員会が昨年3月にまとめた調査報告書によると、元副理事長は約10年間、知的障害の利用者に暴行や暴言を繰り返していた。職員にも同様の行為やパワーハラスメントがあった。

 府中市など行政側には2013年以降、十数回通報があったが、市は20年まで約7年間、虐待を認定していなかった。

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