昭和のヒーロー「ウルトラマン」が西武園ゆうえんちに復活 大型アトラクション「ウルトラマン・ザ・ライド」が登場(埼玉県所沢市)【コラム】

ウルトラマンvsゼットン。CGで港の映像と合成されます(画像:西武園ゆうえんち)

鉄道系テーマパークや遊園地で今夏、話題なのが埼玉県所沢市の「西武園ゆうえんち」。映画館を模したライド型アトラクション「夕陽館」に2023年7月14日から、「ウルトラマン・ザ・ライド 世紀の大決闘」が登場しました。ゲスト(来場者)は科学特捜隊(科特隊)の新人隊員になって、かつてウルトラマンを倒した最強の宇宙恐竜「ゼットン」に闘いをいどみます。

ゲストがバーチャルで身に付けるのは、自由に空を飛び回れる飛行装備「フロート」。訓練中に突如出現したゼットンは、ふたたびウルトラマンを打ちのめします。果たして、ウルトラマンは再びゼットンの軍門にくだるのか、そして科特隊は日本の平和を守れるのか――。

宇宙恐竜ゼットン 突如出現

外見は丘の上の映画館。その実態は科特隊の秘密基地という設定の夕陽館(筆者撮影)

外観は小高い丘に建つ昭和の映画館・夕陽館。しかし、その地下には数々の近代装備を持った秘密基地がありました。科特隊南関東特別作戦本部。ゲストは科特隊の新人隊員として、訓練を受けるために基地を訪れたのです。

開発担当の岩本博士のメッセージを聞いた後、早速フロートを付けて訓練に入ります。開発したのはイデ隊員。科特隊のメカニック担当で、テレビでの愛されキャラ(演じたのは2021年に亡くなった二瓶正也さん)を思い浮かべるシニアのゲストもいます。

フロートを装着しての飛行、最初は思うように飛べません。地上に墜落しそうになったり、ビルに衝突しそうになったり。地上を走るのは都電6000形を思わせる路面電車。そう、ここは活気あふれる昭和の日本です。

フロートで空を飛ぶ科特隊員。ゲストももちろんその一員です(画像:西武園ゆうえんち)

港に出ると、突如宇宙恐竜・ゼットンが出現。テレビでは最終回に登場。ウルトラマンを倒し、強烈な衝撃を与えました。

ウルトラマンと科特隊は怪獣を攻撃しますが、瞬間移動(テレポーテーション)による背面からの攻撃、光弾や火球といった武器を持つゼットンは今も最強。ウルトラマンは再びピンチに見舞われます。「立てウルトラマン! ゼットンを倒して地球を守れ!」。ゲストの思いは届くのでしょうか。

1960年代をイメージしたテーマパーク

私鉄系遊園地の草分け・西武園ゆうえんちは、1950年に開園しました。1980年代には大型アトラクションを次々と導入して名をはせました。

しかし、その後は右肩下がりに。市場調査したところ、挙がったキーワードが「歴史」や「古さ」。そこで、それらを逆手に取り、前々回の東京五輪が開かれた1960年代をイメージしたテーマパークに変身、工期3年強を掛けて2021年5月にリニューアルオープンしました。

目玉が、大型のライド・アトラクション。VFX(視覚効果)に、音響や振動、ミストなどを加え、まるで現場にいるかのような臨場感・浮遊感を体感できます。

夕陽館のプログラムは、これまで「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦」でしたが、3年目の夏休みを前に、ゴジラと並ぶ昭和のヒーロー・ウルトラマンにお出まし願うことにしました。

「日本の制作陣の技術力示す」

ウルトラマン・ザ・ライドを手掛けたのは、映画監督の山崎貴さんとトップクリエイターの津野庄一郎さん。

山崎さんは西武園ゆうえんちと時代が重なる「ALWAYS三丁目の夕日」など多くの作品を手掛け、「永遠の0」と「STAND BY MEドラえもん」で日本アカデミー賞を受賞しました。現在、2023年11月公開予定のゴジラ映画最新作を制作中です。

津野さんは、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再生などに手腕を発揮したマーケティング集団「刀」のクリエイティブ・プロデューサー。ゴジラ・ザ・ライドに続いて、構想をまとめました。

オープン前日のトークショーで、山崎さんは「このウルトラマンには、誰もが心を奪われるはず。私自身、子どものころ見たウルトラマンを制作できるのは本当に幸せ」、津野さんも、「大型アトラクションは海外クリエイターが手掛けるケースが多いが、今回は日本の制作陣の技術力や完成度を世界に示せた」と、それぞれの思いを語り掛けました。

前夜祭では科特隊員とウルトラマンファン200人が「ウルトラマン・ザ・ライド」をアピール(筆者撮影)

ウルトラマン・ザ・ライドの体験時間は1回約10分間で、年齢と身長に一部制限があります。定員は1回70人。専用チケットのほか、のりもの特急券セットも。夕陽館は2023年9月13日まではウルトラマン専用に。翌9月14日からは「ゴジラ・ザ・ライド」も再開します。

夏休みのイベント続々

西武園ゆうえんちは、2023年7月14日~9月3日に夏のイベント「とびっきりスゴYEAR!in SUMMER」を開催中。

鉄道ファン注目が、没入型ドラマチック・レストラン「豪華列車はミステリーを乗せて」。会場は食堂車レストラン「黄昏号」。ランチまたはディナーを味わいながら、車内で起きる殺人事件のなぞときに挑戦します。

ゆうえんち入り口前の路面電車は、長崎電気軌道から譲渡された1050形1051号。訪れたゲストを、ゆうえんちのコンセプト「新しいけど懐かしい非日常の世界」に誘います。

西武園ゆうえんち入り口の元長崎電気軌道1050形電車。長崎入りは1976年ですが、ルーツは1952年に製作された仙台市電モハ80形(のちのモハ100形)にあります (筆者撮影)

西武園ゆうえんちの最寄り駅は、新交通システム(正式には案内軌条式鉄道〈AGT〉)の西武山口線西武園ゆうえんち駅。西武池袋線(狭山線の西武球場前駅)、西武新宿線(多摩湖線の多摩湖駅)の双方からのアクセスが可能で、行きと帰りでルートを変えるのもいいでしょう。営業時間10~20時、プール9~17時(一部変更あり)。

西武線アプリスタンプラリーも

西武鉄道は2023年7月21日~8月28日、「西武線アプリスタンプラリー」を開催。池袋、石神井公園など西武線5駅と西武園ゆうえんち(園内)、「ウルトラヒーローズEXPO2023 サマーフェスティバル IN 池袋・サンシャインシティ」に掲出する、ポスターのQRコードを、スマートフォンのカメラで読み取ってスタンプをゲット。スタンプの数に応じて、賞品をもらえます。

たばこサイズのパッケージに、沿線特産の狭山茶をパッケージしたオリジナル土産品「Chabacco」には、7月21日からウルトラマンバージョンが登場。反対面は2017年にデビューした西武の新型通勤電車で、ロングシート、クロスシートのリバーシブルの40000系電車をデザインしました。

記事:上里夏生

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