茨城・木内酒造 自社工場で麦芽製造 ウイスキー事業強化

木内酒造が今月下旬に本格稼働する製麦工場「石岡の蔵」の内観=石岡市東大橋

創業200年を迎えた老舗酒蔵の木内酒造(茨城県那珂市鴻巣)は、同県石岡市東大橋に建設している製麦工場を今月下旬に稼働する。ビールやウイスキーで必須の大麦や小麦などの麦芽を、自社工場で製造。今年は年内に約96トン、その後は年300トン以上の麦芽を製造していく予定で、国産ウイスキー事業などを強化していく。

新工場は石岡市にある同社の「石岡の蔵」敷地内に新設。麦を発芽させる加工「製麦(モルティング)」をする工場で、製麦のためのドラム式とフロアモルト式の2種類の設備をそろえる。

ドラム式は、一度に5トンの麦を大量に加工できる。最適とされる18~25度の温度で発芽させ、乾燥を行う。

フロアモルト式はウイスキーの本場、英国スコットランドの伝統的な方式で、床に麦を敷き、水を吸わせて発芽させ、500キロを連続で加工することができる。同工場で製造された麦芽は、同社のビール、ウイスキー両方で使うという。

同社は、2009年から茨城県内の耕作放棄地を利用して国産大麦「金子ゴールデン」の栽培を始め、ビールやウイスキーの原料として一部使用してきた。これまでは外部の工場へ製麦を依頼していたが、自前で生産することで製品に合わせた最適な状態の麦芽を造ることができるのが利点という。ビールやウイスキー製造に当てる麦芽のほとんどを国産で賄っていく予定。

1823創業の同社は、日本酒「菊盛」やクラフトビール「常陸野ネストビール」で知られる。2016年にウイスキー製造に参入し、醸造から蒸留、貯蔵までの工程を自社施設で手がけている。同社初のボトルウイスキー「日の丸ウイスキー」は国内外の品評会で高い評価を得ている。

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