楽しく節約アルモンデ 残った食材=“ある物”で 食品値上げでネット投稿急増

「#アルモンデ」で検索したスナップディッシュのアプリ画面。関連する投稿が多く出てくる(同社提供)

集まった食材(左)と完成した料理(群馬県館林市で) 家にある食材を生かし、工夫しておいしい料理に仕上げることを「アルモンデ」と呼び、料理関連のインターネットアプリの利用者や地域のJA女性部など幅広い層から支持を集める。食品値上げが相次ぐ中、節約効果だけでなく、どんな料理にするか考える楽しさが話題となり、関連する料理教室に加え、食品関連企業がコンクールを開くなど、広がりをみせている。

#アルモンデ――。インターネット上の料理関連の投稿の中に最近、頻繁に登場する言葉だ。

料理写真の共有アプリを手がけるスナップディッシュによると、ユーザーが2013年に、家にある余り物を使った料理という意味で「アルモンデ」を使い始めた。当初は目立つ言葉ではなかったが、食品値上げが相次いだ22年から関連する投稿が急増した。

22年に同アプリ内で「アルモンデ」の言葉が入った投稿数は前年比4・2倍に増加。23年も6月時点で既に前年同月比の4・5倍に上っている。

同社と食品関連企業が連携し、余り物の使用を前提としたアルモンデの料理投稿キャンペーンを開催。全農パールライスが5月に企画した「わが家のもったいないレシピ」には、1300件超の応募があった。残りご飯を中華おこげ風にアレンジした「麻婆豆腐」、サバの缶詰と紅ショウガを使った炊き込みご飯などが投稿された。

同社は「『アルモンデ』というイタリア語の響きにも似たスタイリッシュなネーミングがきっかけとなって、節約を楽しむ人が増えている。食材を大事に扱い、しっかり使い切る考えが広がるきっかけにもなるのではないか」(ファンマーケティング事業部)とみる。 アイデア出し合い笑顔

群馬・JA邑楽館林女性会「持ち寄り料理教室」 ニンジンやタマネギ、小麦粉、缶詰め。「アルモンデ」の考え方を取り入れ、群馬県のJA邑楽館林女性会が6月中旬に開いた「持ち寄り料理教室」の会場には、会員が持参した食材が数多く並んだ。どれも全て家にあった余り物だ。

「ジャガイモはマッシュポテトにしたら長期保存できるわね」「春巻きの皮で包んで揚げてみようよ」。会員から次々とアイデアが出てくる。2時間で、野菜の天ぷらやキュウリとシソの肉巻きなど15品を作った。

持ち寄った食材を調理する会員ら(群馬県館林市で)

相次ぐ食品値上げを受け、買い物の頻度を減らしたり、献立を工夫したりして、やりくりする会員は多い。そんな中、同会明和支部の堀口葉子支部長がメディアでアルモンデを知り、料理教室に取り入れた。

「節約料理がアルモンデに名前が変わっただけで、おしゃれで人に紹介したくなる」と堀口さん。「節約=我慢」のイメージが変わったという。

目の前にある食材を使って、どんな料理ができるか。一から考えることもアルモンデの魅力だ。料理教室に参加した関根和子さん(72)は「みんなでアイデアを出し合いながら料理を作るのは新鮮で楽しい」と話す。 志水隆治

集まった食材(左)と完成した料理(群馬県館林市で)

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