茨城県内の不法投棄 半減87件 22年度 監視強化が奏功

男性所有の土地に捨てられた廃棄物=つくば市内

茨城県内で昨年1年間に新たに確認された不法投棄は87件で、前年の171件からほぼ半減したことが県のまとめで分かった。近年は公道などに散発的に投げ捨てる「ゲリラ的不法投棄」の多発で毎年100件超が続いていた。監視強化などが奏功したとみられるが、既遂の事案は実行者の特定が難しく、累積の未解決事案は600件を超えている。

■未解決事案は600件超

県廃棄物規制課によると、不法投棄の新規発生は2018年度が101件、19年度は120件、20年度は197件といずれも100件台で推移していた。新規発生件数の減少は2年連続。

中でも、トラックで公道や農地に廃棄物を散発的に投げ捨てる「ゲリラ的不法投棄」は、不法投棄全体の発生件数を底上げ。ゲリラ投棄とみられる事案は、統計を取り始めた16年度の13件から21年は139件に増加したが、22年は半数以下の63件と大幅減となった。

茨城県は首都圏からのアクセスが良く、以前から各地で不法投棄の被害が多発していた。

このため、県や市町村は21年度から、不法投棄の監視を強化。県警OBなどで組織する「不法投棄等機動調査員」を採用したり、画像が投稿できる通報アプリ導入や情報提供者への報奨金制度の運用を始めたりした。このほか、約450人体制のボランティアによる監視も実施しており、同課担当者は「徐々に対策の効果が出てきている」と手応えを感じているという。

ゲリラ投棄を巡っては、県警生活環境課が、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、建設業の70代男ら2人を逮捕。男らは解体現場から排出されたごみを仮置き場に保管していたが、地権者から土地の返還を求められ、トラックを使って県央地域の農道や民間駐車場などに分散して廃棄物を捨てていたという。

新たな不法投棄が減少した半面、廃棄物の不適正保管などを含む累積の未解決事案は今年3月末現在で615件と増加。例年は500件程度で推移していた。

増加の要因も増加したゲリラ投棄が背景にあるとみられ、同課は「(ゲリラ投棄は)行為者の特定が難しい。20、21年にゲリラ投棄が多発して未解決事案が積み上がった」としている。

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