「ピーポー」→「ヒュンヒュン」 八戸圏域ドクターカー、より聞きやすいサイレンに変更へ

ドクターカーのサイレン音をイエルプ音に変更する経緯を説明する今事業管理者(右から3人目)

 八戸市立市民病院が八戸圏域8市町村で運行しているドクターカーのサイレン音が9月9日から、従来の「ピーポー音」に比べて聞き取りやすく「ヒュンヒュン」という音を発する「イエルプ音」に変更される。同病院と八戸工業大学が14日、発表した。同病院によると、ドクターカーのサイレンにイエルプ音が使用されるのは全国初。関係者は運行時の安全性向上により、圏域の救命率向上につなげたいとしている。

 ドクターカーは赤色灯を点灯し、サイレンを鳴らして患者がいる現場に急行する。近年、一般車両の遮音性向上により運転者がサイレン音に気づかず、さらに車両の高さが救急車に比べ低く、視覚認識されにくいことから、事故リスクの高さが課題となっていた。

 同病院と同大は2022年から、他の緊急自動車と区別できるドクターカー独自のサイレン音の研究に着手。同大工学部の浅川拓克准教授らが音響装置でピーポー音とイエルプ音の車内外での聞こえやすさを比較したところ、イエルプ音の方が優れていると判明した。

 これらの成果を基に、浅川准教授と同病院の医師らは今年4月から、東北運輸局や県警本部などの関係機関に圏域ドクターカーのサイレン音変更が可能かを相談。法令上問題ないとして許可を得た。

 14日、同大で開かれたサイレン音の発表会には、熊谷雄一市長、平川清彦・同局自動車技術安全部技術課長、古川昭治八戸署長らが出席。坂本禎智学長は「ドクターカーが患者の所へ1分、1秒でも早く到着することができ、人命救助につながることを願っている」とあいさつした。

 同病院と同大は今後ポスターを作成し、新しいサイレン音を住民に周知する。今明秀・同病院事業管理者は「全国のドクターカー(運行関係者)もわれわれと同じ悩みを持っている。私が代表理事を務める全国ドクターカー協議会を通じ、全国にイエルプ音を広めたい」と述べた。

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