皇室に受け継がれる絵画や書展覧 岡山県立美術館で特別展開幕

国宝「春日権現験記絵」に見入る入場者

 皇室に代々受け継がれてきた絵画や書、工芸品を、郷土ゆかりの作家の代表作とともに展覧する特別展「美をたどる 皇室と岡山~三の丸尚蔵館収蔵品より」(岡山県立美術館、RSK山陽放送、宮内庁、山陽新聞社主催)が15日、岡山市北区天神町の県立美術館で開幕した。平安から昭和まで、時代ごとの美意識を伝える多彩な作品が、訪れたファンらを魅了している。8月27日まで。

 皇室の美術工芸品を収蔵管理する宮内庁三の丸尚蔵館(東京)の新施設建設による休館に合わせて企画。約9800点に上る収蔵品から約80点をえりすぐり、県立美術館の所蔵品を加えて展示した。

 鎌倉時代後期の縁起絵巻で国宝の高階隆兼「春日権現験記絵」は建物、人物の細密な描写が際立ち、昭和天皇の即位に際し制作された山元春挙の「昭和度 主基(すき)地方風俗(ふぞく)歌屏風(びょうぶ)」は幅5メートル、高さ2メートルの画面に圧倒される。ほかにも津山市出身の金工家正阿弥勝義の次男中川義實(よしざね)らが大正天皇ご成婚を祝って制作した「神龍呈瑞(しんりゅうていずい)」など“超絶技巧”の工芸品も並び、来場者は一点一点うっとりと見入っていた。

 高校3年の長女と熊本県玉名市から訪れた女性(50)は「技術や意匠を凝らした名作ぞろい。古い書や絵巻もとても保存状態が良く、作家の息づかいやエネルギーを感じました」と話していた。

 一般公開に先立ち開会式があり、里見俊樹RSK山陽放送社長、大熊重行県環境文化部長、松田正己山陽新聞社社長が「岡山と皇室とのつながりや交流に思いをはせながら、素晴らしい美の世界を堪能してほしい」とあいさつ。古賀浩史宮内庁皇室経済主管、特別協賛した源吉兆庵ホールディングスの岡田拓士会長らを加えた7人がテープカットした。

 7月17日と8月14日を除く月曜休館。同8日から一部展示替え。

テープカットする主催者ら

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