毎朝4時から商店街を美化する「通り守」 元造園職人、ボランティアに精魂傾ける 沖縄市のパークアベニュー

 【沖縄】「ちりが落ちているのを見るだけで心が安まらない」―。沖縄市中央に住む鈴木善雄さん(78)が、パークアベニュー商店街でボランティアの環境美化に精魂を傾け、「桜守」ならぬ「通り守」として地域の話題になっている。

 造園職人だった東京出身の鈴木さんは27年前、沖縄に社員旅行した。その際、ビニールハウスで育成管理していた薬草など有用植物が、沖縄では野草として当たり前のようにあることを発見、職人魂を揺さぶられたという。

 即刻、沖縄移住を決意。各地を転居のあと中央区に移り住んだのが6年前。それ以前の2013年に市観光物産振興協会の主催の第1期観光ガイド養成講座を受講した。

 ガイドをしながら感じたのがアーケードの落書き、空き缶や瓶、プラスチックカップなどの不法投棄。「観光スポットが乱雑ではもてなしの心が伝わらない」との思いから清掃、美化活動に乗り出すきっかけになったという。

 中央区のセンター自治会(松田健治会長)も毎月クリーン活動に取り組んでいるが、鈴木さんはほぼ毎日、活動する。「午前4時には起床するので、特に夏場は涼しい早朝の作業がいい」と笑顔。松田会長は「鈴木さんの活動は地域の名物になっている」と感服する。

 現在、投棄物の回収や除草など鈴木さんの活動に若者も共感し、協力者が出ているほか、店舗の前を店主が掃き清めるなど好影響をもたらしている。

 造園業の知見を生かして熱帯植物の研究も続け、最近、ガイド資料としても役立つ人気スポットのパークアベニューやゲート通り、パルミラ通り、サンサン通りの街路樹を中心に「コザの植物」の冊子をまとめている。

 鈴木さんは「通りがきれいだと観光客の街歩き、買い物、散策が楽しくなる。それだけでやりがいがある」と決意を新たにしている。

(岸本健通信員)

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