日本サッカー史上最高の天才と評価される小野伸二。
左右両足から繰り出されるベルベットタッチのパスはまさに絶品だ。受け手のことまで考え抜いた至極のパサーのはずだが、かつて浦和レッズでともにプレーした福田正博さんが興味深い話をしていた。
かつて浦和のエースFWに君臨し、ミスター・レッズと呼ばれた福田さんは、前園真聖さんのYoutubeに出演。小野を自身のベストイレブンに選びつつ、こう話していたのだ。
入ってきた時から飛びぬけてたね。彼のよさはサッカーが好きなこと。
本当に根っからのサッカー小僧。とにかく技術力が高い。いつも遊び心持っているし。
彼が出し手で俺は受け手だから。出し手と受け手の関係はすごく必要で。
俺は順回転でくる選手のパスって大好きなのよ。だから、デブライネ大好き、ビスマルク大好きなの。
インサイドキックをほぼ使う選手が大好き。受け手はアウトサイドで変な回転をつけられて、自分(出し手)が目立つようなパスっていうのは最悪なんですよ。
これを子供たちが見ていたら言いたい!理解してもらいたいんですけど。
あんなのエゴですから、出し手の。目的的には最悪ですから、あんなの。ものすごい回転かかってたら、コントロールしづらいから。
順回転が一番受け手にとっていいんですよ。伸二は左足のパスが順回転、クセがない。
彼は右利きなんですけど、試合でも右は器用だから色んな回転をかけてくる。それは受け手としては最悪なんだよ。
いやいやいや、俺(にとっては)全然いいパスじゃないし…でも、見てる人たちは、あれはすごいパスだ、アウトサイドでって言うじゃん。いやいやいや、受け手としたら全然よくない。
見た目とやってる選手では全然違うんですけどって俺は思ってたのよ。
左足のパスは見事。糸を引きます、クセがない。ものすごく丁寧。本当に糸を引く。
これは見ている人にはなかなか伝わらない…俺のトークで伝えろって思うかもしれないけど、これは伝えられないです、体感なんで。
なんて言うのかな…蹴ってないんですよ、スッーって置きに行くみたいな。それがものすごく丁寧、左のキックが。足のつま先まで丁寧が伝わってくる。
伸二の左足のキックはものすごく好き、右はダメ!右は器用すぎちゃって色んなことをやりたがる。
俺は受け手としては嫌だ、見てる方は好きかもしれないけど。左足のキックは天下一品!
彼は左でも普通にドリブル、コントロールできるから。
2年くらい前かな、『右がちょっとダメなんですよ、なかなか治らなくて、試合に出られないんですよ』って言うから、俺は伸二の左のほうが全然好きだと、右なんて使わなくていいから左でずっとやれって言ったことある。
『そんなこと言ってもらったの初めてです』って言うから、いや、それは気がつけって言ったの。
そのくらい、左すごいぞと。受け手にとっては左はすごいと。そう言うやつはいないかもしれないけれど、俺はそう思うと。確実に太鼓判を推せる、ヤバいよ!
FWとしては左足のクセがないパスのほうが断然コントロールしやすかったようだ。
【動画】天下一品!天才・小野伸二が極めた左足インサイドキック
福田さん曰く、小野からのパスの感覚を味わいたくてプレーしていたくらいだったそうで、20年前に受けた感覚は今でも忘れられないほどだとか。