ルーキー太田格之進、“有言実行”のQ1最速「悔しい。Q2はアジャストしきれなかった」

 静岡県の富士スピードウェイで行われている2023全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の公式予選。シーズン途中に同地で公式テストが行われたこともあり、これまでとは違う顔ぶれが上位グリッドに並ぶ結果となった。なかでも、前半戦とは打って変わって光り輝く走りを見せたのが、SFルーキーの太田格之進(DOCOMO TEAM DNADELION RACING)だ。

 シーズンオフのスーパーGTテストで大クラッシュを喫した影響から、3月6~7日に三重県の鈴鹿サーキットで行われた公式合同テストに参加できずに開幕を迎えた太田。序盤戦は予選・決勝ともに下位に沈むことが多かったが、「後半戦では必ず上に行く。結果を出す」と度々コメントする姿が印象的だった。そして迎えた後半戦最初のラウンドとなる富士で、有言実行を果たす予選3番手を手にした。

 第5戦SUGOまでとは一転、予選での上位進出を果たした太田だが、その要因について訊くと“経験値”と“チームの頑張り”を挙げた。

「僕自身の成長幅がけっこうあるかなと思います。走らせ方もすごく研究していますし、それ以上にチームがクルマのことに関して徹底的に見直してくれました。開幕戦では2台とも後方に沈んでいたなかから、ここまで来るのはすごいことだと思います」

「開幕戦で現実を見せられて、そこから『今までのSF19のままではダメだ』とチーム総出で取り組んできて、今ここにいます。言ってしまえば、今回は“第2の開幕”のような感じで、ちょうど開幕と同じ富士で後半戦の幕開けになるなかで、このようなスタートを切れたことはめちゃくちゃ良いと思います」

「本当にチームがやってくれていたことが結果になっていますし、僕もそれに応えられる仕事ができたのかなと思います」

 さらに太田は、スーパーフォーミュラのレースに臨むうえでの“自分自身の慣れ”も今日の結果につながったと分析する。

「SUGOでQ1を突破した時から『これは行けるな』という気持ちはありましたし、今回の富士は今までの大会のなかで、1番緊張せずに臨めました。本当に緊張しなくて普通の感じだったので、徐々にSFの雰囲気とクルマに慣れつつあるのかなと思っています」

「僕は開幕前のテストに参加できなかったので、それも響きましたけど、後半戦に入る前にテストができたので、チームとの仲も深まりました。さらに自分のドライビングも合わせて込めていると思います」

 迎えた今日の予選では、Q1のBグループで2連覇王者の野尻智紀(TEAM MUGEN)を上回る1分22秒528を記録してトップ通過。一時はポールポジションへの期待も高まったが、Q2では0.2秒届かず3番手となった。

「(3番手は)正直、悔しいところはありますね。今まではQ1で落ちることが多く僕のなかで経験が少なくて、Q1からQ2へのアジャストをしきれなかったところがありました」と予選を振り返る太田。

「でも、こうやれば前に行けるのだなというのが、今回わかりました。ここで1回経験しておくと、次は気持ちも楽に戦えると思います」と、前向きに捉え、シーズン序盤には見られなかった笑みが溢れていた。

 ちなみに太田は、今大会を前に原宿の東郷神社へ必勝祈願に行ってきたとのこと。その想いが明日の決勝で叶うのか。目が離せない1日となりそうだ。

2023スーパーフォーミュラ第6戦富士 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2023スーパーフォーミュラ第6戦富士 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

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