生活の足確保へ新技術や資源活用 岡山で連続シンポジウム

 持続可能で活力ある地域づくりを考える連続シンポジウム「SDGs地域課題を探る」(山陽新聞社主催)が15日、山陽新聞社さん太ホール(岡山市北区柳町)で開かれた。今年2回目の開催で「すべての人に移動の自由を」がテーマ。住民の生活の足を守るため、新技術の導入とともに、地域の資源や人材をフル活用する大切さを確認した。

 岡山トヨタ自動車社長の梶谷俊介さん、NPO法人みんなの集落研究所首席研究員の阿部典子さん、コネクシー社長の高木大地さんがパネリストを務めた。

 阿部さんは岡山県内各地で住民の悩み事を調べた結果について「買い物や通院の足の確保など交通問題が多くの地域で課題となっている」と説明。中山間地を中心に、生活の足の確保が難しくなっている現状を指摘した。

 梶谷さんは福祉施設の送迎車両を人工知能(AI)で配車して効率化し、空いた席を買い物や通院の足に使う構想を披露して「高齢者が外出すれば健康にもプラスになる」と訴えた。高齢者らの交通手段として期待される超小型モビリティ(乗り物)も紹介した。

 岡山市を拠点に看護や介護関連事業を手がける高木さんは医療ケアの必要な人の外出支援事業を報告。訪問看護師や週末に利用されていない福祉施設の送迎車を外出に活用する試みを説明し「誰もが希望する場所へ行ける仕組みを作りたい」と意気込んだ。

 高校生の発表もあり、存廃問題に揺れるJR姫新線沿線の真庭高(真庭市)は駅周辺を活性化するアイデアを説明。玉野市の3高校はJR宇野駅の駅舎改善を市へ提案したことを紹介し、倉敷中央高(倉敷市)は水島臨海鉄道のイベント車両飾り付けに生徒が参加していることを報告した。

 SDGsネットワークおかやまの石原達也会長、岡山一郎山陽新聞社論説主幹が進行役を務めた。シンポの模様は特設サイトで1カ月程度視聴できる。

© 株式会社山陽新聞社