防戦一方の朝乃山「駄目だった」 不在の2年、伸びた若手の地力痛感

  ●連日の関脇戦、8日目大栄翔と

 朝乃山は今場所初めての役力士との対戦に臨んだが、元大関の意地を見せられず「駄目だった」という言葉を繰り返した。大関昇進を目指す若武者の闘志に押されて防戦一方となり、攻めの相撲は鳴りを潜めた。8日目には苦手としている関脇大栄翔との対戦も控え、目標に掲げた2桁勝利を目指す上でも正念場を迎えている。

 取組後、朝乃山は冷静に取組を振り返り、自分が不在にしていた2年間、幕内で力を付けてきた若手の地力を痛感した。

 互角の立ち合いから引いた豊昇龍を一瞬押し込んだが、左四つで先に右上手を許した。最初の投げに詰まった土俵際は右足一本で残す。左下手からの寄りで逆襲するも投げに転がり、3敗目で優勝争いから後退した。

 「スムーズに形をつくられた。流れを利用されて投げられた。相手も番付の意地があるでしょう」と敗因を分析。八角理事長(元横綱北勝海)は「最初に攻めた時に頭を上げていた。あそこで出ないといけなかった」と指摘した。

 元大関と、大関昇進を狙うホープの対戦は大きな注目を集めた。「チャレンジャーの気持ちで土俵に上がった」という朝乃山には大きな声援が送られた。「声援が力になっている。いい相撲を取って、本当は勝ちたかった」と漏らした。

 8日目に当たる大栄翔は威力のある突き、押しで白星を重ねている。大関を狙う関脇陣に一矢報い、白星先行で折り返すためにも負けられない戦いとなる。

 ■一問一答

  ●挑戦者の気持ちで

 ―取組を振り返って。

 右前みつ取られて、左差したのが駄目。相手に上手を取られ、先に攻められて、待ってしまった自分が駄目でした。

 ―巡業でも稽古した相手だ。

 巡業ではよく手合わせした。でも、あっちも番付の意地がある。自分の相撲を取り切るだけという気持ちでいきました。

 ―今場所初めての役力士との対戦だった。

 チャレンジャーの気持ちで土俵に上がった。声援が力になっていますし、いい相撲を取って、本当は勝ちたかったけど、駄目でした。

 ―取組後に左腕を気にしていた。

 大丈夫です。

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